人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

サブスク、やってますか?

元を取ろうとする気持ちを捨てたら、自由になれた

 購読している新聞のアンケートに『サブスク、やってますか? 』という質問があった。さぞかし、皆さんいろいろなことやものを利用していると思ったら、わずかに25%の人しかやっていないことに正直びっくりした。今の世の中、あらゆる面において、サブスク全盛だとばかり思い込んでいたからだ。私自身、かなりマスコミに洗脳されているのを感じずにはいられないし、また時代遅れになるのを恐れているのだろう。そんな頼りない私とくらべると、読者の方たちはそんな世間の風潮にきっぱりとNOを突き付けている人たちだ。

 勝手に推測すると、彼らはおそらく50代以上の方たちで、そう思うのも寄せられている意見の大半がその年代の人たちだからだ。その中には『無駄なサービスを受けることで得をしていると勘違いしているだけだと思うから』というある意味、痛いところを点いている指摘もあった。さらに『元を取ろうと、必要以上に時間を取られる危険があるから』といった、当方にも思い当たる節がある意見もあって、なるほどと膝を打った。特筆すべきは、『サブスクは飲み放題のようなもの』という記述で、若い頃はよく利用したが、年を取った今は利用しなくなった。量よりも、質を求めるようになったそうだ。

 私自身はサブスクと言うと、頭に思い浮かぶのは動画サービスのことだ。いつの間にかテレビのドラマが昔ほど面白く無くなった。ぽっかりと空いた時間に、ドラマでも見ようかとなったときに何も見る番組がないと言うのは実に寂しい。何かキープしておきたい、いつでも見れる何か適当なサービスが欲しかった。そんなときに出会ったのが中国の動画サービスのアイチーイーだった。ちょうど中国語を勉強していた時だったので、一瞬これだと思った。だが、一見したところ、なんだか怪しい感じなので、恐る恐るID登録をして様子を見ていた。有料会員になるまでに時間を要したが、4月から見始めて今現在も続いている。月額880円で、サイトには自動更新と書いてあるのだが、実際はその都度、自分で更新をしないとアカウントが削除されてしまって慌てることになる。

 それを身をもって体験した私は、めんどくさいシステムだと嘆きながらも従うしかない。予期せぬことだが、中国語字幕での視聴を目指したはずなのに、実際は英語字幕でドラマを楽しんでいる。おぼつかない英語力の私でも、何とかあらすじをたどれていて、物語に没頭できている。正直言うと、今の私はドラマを日に30分も見ればいいほどで、全く見ない日もあるほどだ。なぜなら英語やフランス語の勉強が面白くなったせいで、動画サービスにたいして関心が向かなくなったからだ。人間というものは自然と楽しい方に惹きつけられる生き物だから、それはそれでいい。今のところは見ていない、だからと言って、動画サービスが必要ないと言うわけでもない。

 要するに、アイチーイーをやめることは全く考えていないし、もったいないからできるだけ見なきゃという思考回路は働かない。元を取るというステレオタイプな強迫観念を捨てたら、物凄く自由になれた。もちろん、月額880円は発生するが、モラトリアムでドラマのキープ代とでも考えた方がよさそうだ。シンプルな考え方だが、以前の私はこのような簡単なことができなかった。効率だけを考えて、動画サービスの奴隷になっていたからだ。見たいときにいつでも見られると言う自由を忘れていた。考えてみると、あの頃は熱中できるものが何も見当たらず、ドラマにすがっていた。どうにもならない鬱屈した毎日をやり過ごす日々、ある意味気分転換をしようとしたのだろう。

 だが、今世界は間違いなく変わったと感じる。それに私自身も驚くほどに変わった。もうドラマに助けを求めることも無くなったし、面白くないのに頑張ってみることも無くなった。必要以上に期待することも無くなって、今では本当に自由になれたと実感している。

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