人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

インターネットの罠

はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」

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他人事だと思っていたら、パスワードが盗まれていて

 当時私はインターネットを最大限に利用して、買い物を楽しみながら快適な生活をしていると思っていました。なんといっても便利なのは現地に行かなくても、各地の美味しい物が手に入ることでした。例えば、北海道にわざわざ行かなくても、自宅に居ながらにしてお土産が食べられるのです。大好きなじゃがポックルやじゃがピリカ、白い恋人などをいつでも買えてしまう、それがネットショッピングの素晴らしい点です。田舎に帰るときも、前もって注文して送っておけば、お土産の荷物で苦労することもありませんでした。そんなとき耳にしたのは、パスワードの使いまわしによって第三者に不正使用される被害が増えていることでした。「ふ~ん、そんなことが!?」でも所詮それは物凄く運が悪い人のことで、少なくとも自分には全く関係ない事だと思っていました。

 ある日、カード会社から送られてきた請求書の明細を見て仰天しました。明細書の欄に自分で使った覚えのない金額が記載されていたからです。それは金額としては何千円かなのですが、月に数回勝手に使われているようでした。さっそくカード会社に連絡すると、その分の金額は支払う必要はないので心配はいらないと言うのです。引き落とされてしまう分は次の月で相殺されると言われ、それで一応解決したかのように見えました。でも、次の月も同様で不正使用は止まりませんでした。カード会社にどうにかして欲しいと頼むと、「では、今のカードを停止して、新しいカードを作りましょう」と提案されました。いったいどこの誰がそんなひどい事をしているかなんてことには興味がないかのように、簡単に、事務的に言ってくれるのです。どうやら、犯人を見つけるなんてことは意味がない、というより不可能なのです。だから、魔の手を逃れる術は防御しかないと言いたいのです。

 電話してから、1週間ほど経ってから手元に新しいカードが届きました。カード番号を見てみると、16桁ある番号の最後の4桁の6002が6093になっただけのことでした。これで果たしてもうカモにされずに済むものなのか、少し不安になりました。自ずとネットでショッピングしようとすると、心にブレーキがかかってしまいました。それでも、必要に迫られて恐る恐る買い物をしてみたのです。それまでは、毎月の携帯料金や動画サービスの引き落としだけで、ネットで利用しなければ問題はありませんでした。ところが、いったん利用し始めると、またもや身に覚えのない支払いが明細に乗るようになりました。おまけに会社で仕事をしていたら、「カード会社から電話ですよ」と言われました。「なんだろう?」と電話に出ると、椅子から転げ落ちそうになりました。「あなたのカードが先ほどアメリカで使われました」。その信じられないような文句が耳元を離れませんでした。

 ドキドキしながらも冷静になって、折り返しカード会社に連絡しました。今すぐ、いいえ一秒でも早く解決したいのに、電話が繋がらないのでイライラが募ります。やっと繋がったと思ったら、またもやカードを新しくしてくれると言われました。私はもううんざりしていたので、「解約したい」と申し出ました。その場合は溜まっていたポイントも失効するけどなどとくだらないことを言われましたが、関係ありません。思えば、このカードは2次認証というか、IDとパスワードが設定されていないので、あまりに無防備なのでした。ネットで買い物するときに会員登録というものがあって、個人情報とクレジットカード情報を入力すれば、あとはクリックするだけで済むのでとても便利です。でも第三者はその便利さの隙を狙ってくるので、買い物するときも浮かれていないで、頭の半分は冷めていなければならないのです。

 現在の私はIDとパスワードが設定されたカードを使っていて、もう以前ほどネットで買い物しなくなりました。たまに利用しても、会員登録すれば商品の値段が半分になるとの宣伝文句にも魅力を感じません。これまで散々痛い目に合ってきた私ですが、ネットショッピングを否定する気は全くありません。ネットほど便利な物はないと思っていますし、賢く利用すればいいのだと自分を戒めています。

mikonacolon