人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

スイスロールがほろ苦い

今週のお題「好きなおやつ」

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おやつの定番はスイスロール

 子供の頃、学校が休みになると、特に夏休みにはよく親戚の家に行ったものです。そこは自分の家とは全く別世界でした。広い庭のある敷地に母屋と子供3人のそれぞれの子供部屋の離れがあって、母と一緒に寝ていた私にとっては驚きでしかなかったのです。叔父夫婦は二人とも教師で共稼ぎなので余裕があるらしいのです。母がいつも「二人で稼いでいるからお金があるのよ」と言っていたし、グランドピアノのほかにピアノがもう1台あって子供の音楽教育に力を入れていた記憶があります。その家の長女は暇があればピアノを弾いていたし、勉強だってできて頭のいい子でした。それぞれ子供には個室が与えられ、自由で羨ましくて仕方がなかった、そんな家のおやつの定番がスイスロールでした。昔はたしか敷島製パンだったのですが、今はパスコのスイスロール、つまりロールケーキです。そして、飲み物はなぜかコーヒー、それもネスカフェの大瓶で、グラスに砂糖と水を入れて混ぜただけのもの。今思うと「子供になぜコーヒーなのですか」と突っ込みを入れたくなるのですが、ここの家の子たちは当然のように文句も言わず飲んでいました。と言っても、子供なのでやはり砂糖を入れてもコーヒーは苦く感じてしまいます。でも不思議なことにその苦さをスイスロールの甘さが消してくれる、そのおかげで「これは美味しい!」と感じてしまうのです。今でいう「絶妙な組み合わせ」と言えるでしょう。コーヒーを飲んだこともない子供だった私が、そこの家に行って、初めてコーヒーの味を知りました。でもロールケーキの甘ったるさのおかげで「予想外に美味しい」ものだと言うことがわかったのです。

お母さんが恋しい?

 叔父の家の末の娘は私と同い年で、ある日、その子の部屋に一緒に寝ることになりました。ちゃんと自分専用の洋服ダンスがあって、中を見たらデパートにあるようなワンピースがずらりと掛かっていて、まるで夢のようでした。実を言うと、当時母はこの家の長女のお古を私に着せていたのです。「いいねえ、こんな服が着られるなんて」と羨ましがる私に、その子は予想もしなかったことを言ってのけたのです。「こんな服なんていらないわ!私はお母さんが欲しいの」。そう言われても私には訳が分からず何を言ったらいいのかわからなかった。「私はお母さんと一緒に居たいの!」と気持ちをぶつけられても、どうしていいのかわからずに困り果てるだけだった。

 後で母にその日のことを話したら、以前は仕事に出かける叔母を泣いて追いかけて大変だったのだと教えてくれました。それだけ母親が恋しい、一緒に居たい気持ちが強い子なのです。母といつも一緒にいる私にいとこの気持ちが理解できるわけはないのです。でもその時子供ながらに、子供を預けて働くのは大変なことなのだと思ったのを覚えています。最近はあまりスイスロールを見かけることはなくなりました。でも子供のころ食べたおやつは何かと考えてみると、あの頃食べていたスイスロールを思い出すのです。

mikonacolon