人生は旅

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すき焼きが一番のごちそう

今週のお題「鍋」

f:id:mikonacolon:20201114185220j:plain子供の頃のごちそうはすき焼き

 偶然にも、昨日の朝日新聞に「好きな鍋料理は?」という記事が載っていました。そこでのランキング1位はなんとすき焼きで、2位はキムチ鍋でした。私としては意外で、キムチ鍋はわかるとしても、もっと身体が温まるイメージのある寄せ鍋が1位で人気があると思ったのです。そんな私はすき焼きが鍋料理の一つであることを忘れていました。正直言って、新聞の記事をパッと見た瞬間に「すき焼きって鍋料理だったんだ!」と気づいたのですから。

 思えば、子供の頃のごちそうと言えば、すき焼きでした。何かのお祝いの席ではお寿司やウナギよりも、やはり上等の牛肉が主役でした。夕飯がすき焼きだと聞かされると早く家に帰りたかった。すき焼き鍋に牛脂を入れると、シュルシュルという音がして、それがすき焼きの始まりです。早く食べたいと言う気持ちが抑えきれません。でもそこは子供なので、肉の良しあしよりも、あの甘辛い味付けに惹きつけられていたような気がします。肉と一緒にネギ、白滝、焼き豆腐などを溶き卵につけて食べる、その瞬間は幸せを感じて、「世の中にはこんな美味しいものがあるのだ」と病みつきになったものです。

 すき焼きを食べた翌日の朝ごはんは昨日の残り物と決まっていましたが、それがまたごはんに合うのです。具材の中でもとくにクタクタになったネギが甘くて、白滝もしっかりと味が付いているのがとても美味しかった記憶があります。子供の頃は肉にこだわりなどなかったわけですが、大人になって我が儘になり、こだわりを持つようになると話は違います。お金持ちでもないのに、贅沢になったおかげで、すき焼きは一番のごちそうとはもう思えなくなったのです。それどころか、あのしつこい味付けが、ちょっと苦手になって来たのです。でも牛肉への関心が薄れたわけではなく、チャンスがあれば最高級の肉を味わってみたいという欲望は消えてはいませんでした。

口に入れた瞬間溶けて無くなって

 2年ほど前、お正月に姉がすき焼きをご馳走してくれることになり、地元の高級店に行きました。テレビでタレントが食べるのを見るだけだった最高の牛肉が食べられるチャンスです。姉によると、一人前5千円、いいえ7千円とかの肉だそうで、興味津々でワクワクしていました。席に座って待っていると、お店の人が肉を運んできて、肉の焼き方を教えてくれました。そして「どうぞ、もういいですよ。召し上がれ」と言われて、口の中に入れました。すると、霜降りの肉の脂がすぐに溶けて消えてなくなったのです。いつもの、あの肉の触感は感じられないのですが、その瞬間「美味しい!」という言葉が口から出たのです。

 みんなの満足そうな顔を見て姉は嬉しそうでしたが、誰かが「肉だけ食べていないで、野菜も食べなきゃ」と言い出したのです。肉に感動するあまり野菜を食べるのを忘れていたようです。それで肉と野菜を一緒に焼いてみたら、後の祭りで失敗でした。せっかくの美味しい肉の脂の旨味が野菜の水分で台無しになったのです。肉を口に入れたら、あの美味しかった旨味はどこに行ったのか、ただの脂っこいだけの代物になってしまったのです。この時とばかりに追加した牛肉は胃袋が受け付けなくて無駄になりました。やはり、肉は肉だけで味わうのが賢明なのだと高い代償を払って知ったのです。

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