人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

残念な寿司屋のランチ

今週のお題「寿司」

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▲ポケット版『ベストオブ寿司』に載っていた、築地卸売市場にある龍寿司の握り。

ランチにお寿司を食べようと思って失敗して

 昨日スーパーに行こうとして、ふらっと古本屋に立ち寄りました。このところ雨が降り続いて店先に本が並べていなかったのですが、久々に晴れてやっと外に本が出ていたからです。何か掘り出し物はないかとあれこれ見ていると、「寿司」の文字が見えました。思わず手に取ってみると、北海道から九州まで食べ歩いて、これはというお寿司屋さんが紹介してありました。それぞれの素材の握りは実物大で食欲がそそられて、口の中が唾液で溢れかえってしまいます。すぐにでもお寿司が食べたくなって、スーパーに走っ行き、握りずしのパックをレジに持って行きたい衝動にかられました。それなのに不思議なことにもうお腹一杯、そんな気分になってしまいました。握り寿司の写真を見て目で味わい、あれこれと妄想に耽った後は、「ああ、美味しかったなあ」と思いました。

 カラー写真が魅力的なこの本は驚くべきことに1991年に出版されたものです。今から30年も前の本だなんて信じられないくらいの綺麗さです。かつての築地市場は今どうなっているのでしょうか。そう言えば、昔友達が駅ビルの中で小さな総菜屋の雇われ店長をしていました。週に何度か築地に仕入れに行っていたので、一度ついて行ったことがありました。そこは荷物を乗せた荷車が忙しく走り回っていて、ぼうっとして歩いていたらぶつかりそうになりました。ただただすべてが物珍しくて、興味津々で気を取られていたせいか周りが見えなくなっていたからです。

 

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▲アナゴもその店によってそれぞれ違いがあります。タレがあるないや、見た目も味も様々でバァリエーションに富んでいます。

 

 もう何年も前、都心に遊びに行った私はお昼に何を食べるかで思案していました。いつもはヴェローチェのサンドイッチかなんかで誤魔化して終わりにしていました。でもその時はなんだか、ふとお寿司が食べたくなりました。お寿司と言えば気軽に入れるのは回転ずしですが、気分を変えてみたいと思いました。それで、お寿司屋さんのランチに行こうと決めました。ここなんかどうだろうか?と思ったのはなんだか人気がありそうなお寿司屋さんのランチ限定のマグロ丼でした。入ろうかどうか迷っていると、食べ終えた人が店の中から出て来たりして、明らかに混んでいるようです。お腹が空き過ぎていたので、なるべく早く食べたい、そう思った私はその店をパスしました

 つぎに行ったのはいつも通る大通りにある昔ながらのお寿司屋さんでした。店の前にランチの見本がケースに入れてあって、その日はアナゴ丼でした。見るとサービスでサラダやデザートのお菓子まで付いていました。「なかなか美味しそうだ。ここにしよう!」とお昼を食べることに決めました。中に入ると、そこにはお客さんが一人もいなくて、少し後悔しました。どうやら老夫婦二人だけでやっている寿司屋のようで、おかみさんがお茶を運んできてくれました。私の頭の中はアナゴで一杯になっていたので、お目当てのお膳が目の前に置かれたときはワクワクしました。ところがランチの実物をわが目で見たときはさらなる後悔が私を襲いました。何と主役であるアナゴ丼のあなごの切り身がたった3切れとは!この上なく悲しい事態でした。

 食べたいと切望したアナゴ丼の器はどんぶりではなくて、ごはん茶碗でした。当然ご飯の上に乗せるアナゴも少なくて済むし、それにアナゴも痩せていてダイエットをしたかのように限りなく薄かったのです。主役のアナゴは影が薄く、自分を主張していたのはサラダとデザートでした。まるで詐欺に会ったかのような気分になりながらも、アナゴ丼を終えた私はさっさと店を出ました。本当は余計なサービスなどいらなくて、ただアナゴ丼が食べたかっただけなのです。やはり人間はサービスという言葉に弱いというか、惑わされる生き物なのかもしれません、特に私は。

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