人生は旅

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バレンタインデーを前に贈り物の原点を想う

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 一つ欠けた饅頭に和尚さんの愛が感じられて

 2月になって節分も過ぎると、次はいよいよバレンタインデーと、いつもならそう思うのですが今年はそれどころではないようです。考えてみると、去年もコロナウイルスが身近に迫って来る脅威とマスク捜しに忙しくて、バレンタインの雰囲気ではなかったのです。バレンタインデーと言えば、外国では男女関係なく愛する人に贈り物をして愛を告白する日なのだと聞いたことがあります。

 先日、新聞の投書に「これこそ贈り物の原点ではないだろうか」という目から鱗の記事を発見して嬉しくなりました。それは岐阜県に住む住職の方が子供の頃に体験した話でした。戦後間もない食料が十分でなかった頃、近所の和尚さんが来られるのが一番の楽しみだった。家がお寺なので、檀家の人たちが箱に入ったお菓子をお供えに持ってくる。でも母はそれを仏様にお供えしてから、いつもお客さんにお土産として渡していた。だからめったにお菓子は子供の口には入らなかった。でもその和尚さんは他の人達とは違っていた。「昨日貰った饅頭だけど、ひとつ食べてみたらうまかったから持ってきた」と渡された箱には包装紙は掛かっていない。中を見ると一つだけ饅頭が無かった。「みんなで食べてごらん」と言われたので母も諦めて、ようやく子供もお菓子を食べることができたのだ。いくら何でもひとつ欠けた菓子箱をお客さんに渡すわけにはいかないだろう。和尚さんはそれを承知で中身がひとつ欠けた贈り物を持ってきた。つまり、子供だって菓子箱を見せられるばかりでは可哀そうだ、たまには食べたいだろうにとの思いやりからだった。わざと中から一つ取って持ってくる、その行為こそが子供たちへの愛だったのだと今改めて思うのだ。考えてみると、その和尚さんの子供たちへの想いは贈り物の原点なのだ。だから今でも自分が一番好きな物、一番大切な物を贈り物にしているのだとこの住職の方は書いておられるのです。

お通夜にシュークリームを持ってきた人

 お寺の住職、贈り物という言葉で思い出したのは、昔祖母のお通夜の時に弔問に来る人がみんなそれぞれに饅頭の菓子箱を持ってきた時のことです。普通はありきたりのどこにでもあるような饅頭を誰もが持ってくる中で、子供だった私がびっくりしたのはシュークリーム。大きめの浅い箱にギュウギュウに詰められていて、見るからに美味しそうだった。今でいうミニシュークリームで、一口サイズで口の中に簡単に放りこめるので手も汚れないし、食べやすかった。この状況でシュークリームってあり?と子供なのに固定観念でガチガチになっていた私にとって、それは嬉しい驚きでした。とやかく言われるかも知れないのに?、堂々とシュークリームを持ってくる人のセンスに脱帽したのでした。今考えると、あんな田舎でも別に決まりがあったわけでもないらしいのです。箱を開けて、シュークリームだとわかったときも大人たちは「あらっ?」と意外な反応をしたのですが、それでお終いでした。

一番嬉しかった贈り物は

 人にとって贈り物は何でも貰えれば満足と言うわけでもないようです。来るに決まっている贈り物は満足の度合いが少し下がる気がするのです。クリスマスの贈り物などその典型ではないでしょうか。子供はサンタさんに自分が欲しいものを知らせるために手紙を書かされます。親が子供の欲しいものを知るための手段としてサンタを利用するのです。しかし、子供の願いが叶えられる保証はどこにもありません。「お願いしたのはこれじゃない!」と親に訴えると彼らは苦笑いを浮かべるだけでした。たとえ、願いが叶えられたとしても、自分の注文したものが届いたに過ぎない感覚です。嬉しいことはうれしいのですが天にも昇る気持ちにはなれず、まあ、予想通りの嬉しさなのです。

 そんな私の一番嬉しい贈り物は、ヘルニアで病院に入院していた時に届きました。手術をしたばかりで歩くのもやっとで、自分の身体なのにちっとも自由にはなりませんでした。動かないと筋肉が固まるので、痛くても我慢して歩くように医者から言われていました。シャワーを浴びに浴室へ行って、寝間着を脱ごうとするのですが、筋肉痛でうまくいきません。信じられないほど時間がかかって疲れてしまいました。そんな時友達が、「別に来なくていいよ」と断ったのに見舞いに来てくれました。その時に彼女が袋から何気なく取り出したのは、スターバックスのアイスカフェラテのショートとディニッシュ。思わず、「わあ、うれしい!これ飲みたかったのよ」と感激してしまいました。病室というのは、異常に暑くて喉が渇いてしょうがないのです。看護婦さんに売店で買ってきてもらったお茶と水で何とか我慢していた時でした。「さすが、私の行動がよくわかってるね」と感心し、飲み物だけでなく単行本も忘れなかったのには恐れ入りました。まさに私にとってのサプライズな出来事でした。

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