人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

時間がもったいない

 

仕事人間が、趣味を見つけるには

 日経新聞の土曜版には『なやみのとびら』という人生相談のコーナーがある。私はこれを毎回楽しみにしていて、それぞれの回答者のアドバイスには性格やこれまで生きて来た経験がにじみ出ていて大変興味深い。先日は俳優の平岳大さんの番で、50代の男性のお悩みは「趣味を見つけたい」と言うことだった。退職後の事をふと考えたら、自分には仕事だけで趣味の一つもないことに気が付いた。このままではボケるのではないかと急に焦りだし、何か趣味を見つけるいい方法はないものか、アドバイスを求めていた。

 この方の悩みには平さんも同感で、ご自分もこれと言った趣味もない自称仕事人間だという。その理由は時間がもったいないからで、そもそも平さんは子供の頃から時間を無駄にするのが嫌いだったというから、これには仰天した。「子ども頃、友だちの家で皆で黙って漫画を読んでダラダラ過ごすのが苦痛だった」そうで、私などにとっては「何、それ!?」である。まさに異星人の考え方であって、そもそも時間を無駄にするという、大人のような考え方は頭の片隅にもなかった気がする。こんなことを書くと、私がどれだけ子供の頃なあんにも考えずに生きて来たかと言うことがバレて恥ずかしくなる。

 平さんによると、自分は子供の頃の癖で大人になっても成果主義で生きているから、無趣味なのだ。現在はハワイで暮らしているせいか、よく人から「サーフィンはしますか」とか「ゴルフはしますか」と聞かれる。そんなステレオタイプな質問をされる度に「いいえ、しません」と答えるのだが、内心では何かしなきゃと強迫観念に襲われた。でも、実際には何もせずに今まで過ごしてきた。思えば、自分も後2年もすれば50歳になるので、相談者の気持ちは痛いほどわかる。だが、最近平さんにも趣味と呼べるものができたらしい。それは写真を撮ることで、ドラマのロケをしていたら、共演者のひとりがカメラで辺りの景色を取り始め、撮った写真を見せてくれた。すると他の人たちも同じことをやり始めたので、気が付いたら自分も仲間に入っていた。それで、目下のところは家に帰ってきても娘さんの写真を撮って人に見せて楽しんでいる。どうやら平さんの場合は趣味は自分ひとりで楽しむのではなくて、人に何かやってあげるということらしい。

 平さんと言えば、初めてテレビで見たのは『ウルルン滞在記』だった。あの番組は大変な人気番組だったが、スポンサーの事情で惜しまれながら終わってしまった。徳光和夫さんが、最終回で「こんないい番組がどうして終わるのか分からない」と号泣していたのを今でも記憶している。その番組の中で、平さんは場所はどこか忘れてしまったが、アジアのどこかの小さな村にホームステイしていた。滞在先の子供たちとボール遊びをする場面があるのだが、どうやらスポーツは得意ではないらしい。背も高くすらっとした体格で、カッコイイイケメンの部類にはいる平さんだが、この時のナレーションは「平、何をしているんだ、頑張れ」だった。

 昨今はNHK大河ドラマンなどで活躍されているが、たいして気にもしなかった。二度目の出会いは不真面目に聞いていたNHKのラジオ英会話でのインタビューだった。そのインタビューも何回かあったのだが、記憶に残っているのは大杉先生の「米国でビジネスマンとして活躍されていたのに、そのキャリアを捨ててまで・・・」と言うフレーズだった。つまり、米国からなぜ突然日本に帰ってきて俳優になったのかが、謎だった。その理由は残念ながら思い出せないが、平さんが優秀なビジネスマンだったことは間違いない。それで、今回の悩み相談での「僕は成果主義の人間」と言う言葉がしっくりときた。

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