人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

東北の田舎で食べたそうめん

今週のお題「そうめん」

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そうめんを食べながら、聞いた話はドラマのようで

 夏の暑い日のお昼に何が食べたいと聞かれたら、「そうめんに限る」と答えます。でも、あの冷たくて、ツルツルといくらでも喉を通ってしまうそうめんにも一つだけ欠点があります。それは食べ終わった瞬間は満足するのですが、悲しいことにすぐにお腹空いてしまうことです。考えてみれば、見るからに細くて儚げなので、腹持ちが悪いのは仕方ありません。腹の虫が暴れて「お腹が空いた」と騒ぐので、私などは必ず何か別のものを追加で食べてしまいます。それでも、ついついそうめんを茹でてしまうので、「まあいいか」と許せてしまうのです。

 それから、ある日テレビのクイズ番組をぼんやりと見ていたんです。そしたら、うどん、そば、そうめん、この3つの中で一番カロリーが高いのはどれかなどと言う問題が出ました。私はすぐに「うどんでしょう」と思いました。でも正解はそうめんで、あれは見た目は細くてヘルシーに見えるのに意外とカロリーはあるのだそうです。また、うどんが3つの中で一番低カロリーなのだという事実には愕然としました。食べ物も人と同じで、見た目で判断してはいけないようです。でも、そうめんがカロリーが高いからと言って、「だから、食べるのやめる」などと言うことにはなりません。頭の中でカロリーのことなど考えていたら、食べ物が美味しくないではありませんか。この際カロリーのことはすっかり忘れて、ひたすら冷たいそうめんを味わいたいと思うのです。

 以前、真夏に東北の親戚の家に行ったら、お昼にそうめんが出ました。ふと見たら、そうめんがお皿にひと塊づつ綺麗に巻いて置いてありました。これは食べる方としては一口分が取りやすくて確かに食べやすい。でも、一方ではその作業をする側にとっては手間がかかって面倒です。どうやらここの家では、そうめんの出し方はこのやり方のようでした。まるで、ざるそばを食べるときのような盛り方を見たのは初めてでした。そうめんは普通は涼感のあるガラスの器に入れて氷など浮かべて出すもの、そう固く信じていたので少し戸惑ってしまいました。でも今思うと、あの家は小さな子供が多かったので、子供にも食べやすいようにと考えて工夫していたのかもしれません。

 子供が大勢いる中で、その家のお嫁さんが2歳くらいの男の子にそうめんを食べさせていました。そうめんを細かく切って食べさせていたのですが、その子はうまく呑み込めず、ゲホゲホして苦しそうでした。「そうめんはダメみたいだから、別のものにするわ」。お嫁さんの話によると、その子は親類の娘の子供で、母親が働いている間だけ預かっているのでした。母親は市議会議員の娘で何不自由なく育ち、親のコネでゴルフ場に就職もしました。ゴルフ場ではキャディーとして働いていました。明るくて機転も利くのでお客さんからは喜ばれていました。しばらくしてフロントに居る男性と付き合うようになりました。その後結婚したのですが、仕事は辞めないで働き続けました。それというのも家には義母がいて、仕事を持っているにも関わらず、完璧に家事をこなしていたからです。

 「私はなんにもしなくていいの。お義母さんが全部やってくれるから」。会うたびにそんなことを言っていました。結婚しても独身の時と変わらない生活をしている彼女を見ていたら、少し羨ましいとも思ったのです。朝起きて、お義母さんが作ってくれた朝食を食べて仕事に行き、帰って来たら夕食を食べてお風呂に入って寝る、その繰り返しで毎日が過ぎて行きました。何年か経ったある日、家を建て替えることになり、彼女はしばらく実家で生活することになりました。そのうちこんな噂が親戚の間で囁かれるようになりました、「あの家には戻らないつもりみたいだよ」と。つまり夫婦仲がうまく行っていないようで「もうダメかも」と彼女が落ち込んでいたらしいのです。結局、新しい家ができても彼女は嫁ぎ先ヘは戻りませんでした。

 では、その後再婚して子供ができたのかと思ったら、そうではありませんでした。実家で生活する間に仕事で知り合った男性と付き合うようになったのでした。それなのに、相手の男性は子供ができたとわかると彼女に別れを告げて去っていきました。まるで映画かドラマのような展開に私は話を聞きながら、呆然としてしまいました。その男性の子供が今目の前にいる可愛い男の子なのでした。「子供に罪はないから」と彼女の父親は娘を受け入れたのですが、さすがにけじめをつけるために一緒に住むことは許しませんでした。だから、今は市営住宅で母子二人で暮らしているのです。

mikonacolon