人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

見知らぬ人から貰ったチョコレート

今週のお題「チョコレート」

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チョコレートは悩ましい食べ物

 チョコレートは不思議な食べ物で、人から大歓迎されることもあれば、敬遠されることもあります。その理由はカロリーが高いからで、スリムでいるのが健康だとのステレオタイプな考え方からきているのです。せっかく人から「どうぞ」と勧められたのだからその好意を快く受けたいのです。でも、どうしても我が身の締まりのない身体のことを考えると食べるわけにはいかないのです。ただ、仕事で疲れているときなどには、甘いものが食べたくなります。身体の細胞が求めているのです。そんな時はチョコレートはタイムリーな食べ物と言えます。普段めったに甘いものには縁のない人でも、コンビニなどでチョコレートの影を見たら誘われてしまうそうです。実際、甘いものには人の心を癒す効果があるのです。

 大人になるとあれこれ考えて、自由に食べられないチョコレート。何も考えず食べていたら、ある日ズボンのファスナーが閉まらくて困った、なんてことになるのは目に見えているからです。そんな事態はすでに自ら経験済みです。神様、お願いですから絶対に太らない身体をくださいと、信じてもいないのにすがりたくなります。高校時代のクラスメートは美人でしかもスリム、しかもよく食べる。見るからに可憐な彼女は「私は太れないの!」などと平気で言う。そんな羨ましい身体を持つあの子に当時は嫉妬したものでした。

見知らぬ人からチョコレートを差し出されたら

 美味しいのに、大好きなのに、毎日食べるわけにもいかないチョコレート。そんなチョコレートが犯罪に使われることもあると知ったのは、旅行のガイドブックの危険情報のページをよんだときでした。ある人がヨーロッパのポーランドに向かう夜行列車の中で、隣り合わせた人からチョコを貰いました。人の好意を疑いもせずに素直に受け取ったその人はすぐに口に放りこみました。それからは二人で話し込んで楽しかったのですが、ふと夜中に目を覚まして仰天した。側にあった自分の荷物も身につけていた貴重品袋に入れていたお金とパスポートもすべて消えていた。身ぐるみ剥がされてしまったのだ。どうやら、あのチョコレートには睡眠薬が入っていたらしい。とまあ、そんな報告が載っていたのです。その話の真偽はどうあれ、当時の私にとっては外国は恐ろしい所なのだとの印象が強く残りました。ちょうどこれから初めての海外旅行に行こうという矢先でした。

 旅先で見知らぬ人から食べ物を貰っても、絶対に食べてはいけない、そんなことがしてはいけないことのリストにあげられていました。思えば子供の頃は、「知らない人について行ってはダメ」と口うるさいほどに言われていたものです。だから、忘れ物を取りに行く途中に出会った女の人の申し出を断りました。親切にも自転車に乗せて行ってあげるというのですが、知らない人なので怖かったのです。「○○さんのお母さんだから安心して」としつこく言われても動じませんでした。後で同級生の母親だとわかったときはバツの悪い思いをしました。まさに”人を見たら悪人と思え”なのでした。でもその呪文のような思い込みは大人になって海外旅行に出かけるようになると、次第に解け始めるのです。なぜなら人を頼らずには旅を続けることはできなかったからです。だから現在の私のモットーは「これから出会う人はみんないい人」なのです。

 私は初めての海外旅行でイタリアに行ったとき、知らない人からチョコレートを貰いました。アオスタでモンブランを見に行こうとバス停を捜していた時でした。ベンチに一人の中年の女性が腰かけていました。誰かにバス停があっているのかどうか聞きたかったので、ちょうどいいと思いすぐに話しかけました。予想通りでこのバス停で待っていればクールマユールに行けるのでした。まだちょっと時間があるので座って待つことにしました。するとその女性はバッグからチョコレートを取り出したのです。チョコレートの端っこをポキッと割ると、その残りを私の方に差し出したのです。自分はほんの少しだけ取って、チョコレートのほとんどを異邦人の私にくれるというのです。そんな気遣いは無用と、当然のことながら断りました。でも女性は譲らないので、私は素直に申し出を受けることにしたのです。どう考えても睡眠薬など入っていそうもありません。本来なら自分で食べたかったのに、自分だけで食べればいいのにと思うのですが、それが彼女の善意から出たことなのだとはっきりわかったのです。

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