人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

若林正恭さんとキューバ

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家庭教師を雇って世の中を知る

 古本屋で絵本を買おうとレジに行こうとしたら、目に留まったのは若林正恭さんの本でした。それはちょうど新聞の広告で見たばかりの「表参道のセレブ犬とカバーニヤ要塞の野良犬」でした。「ええ~?もう古本屋に出ているの?」と驚きましたが、それは以前に出版されたものでした。帯に「キューバへ」とあるので旅ごごろを刺激されてしまい、衝動買いしてしまいました。と言っても200円の出費なので懐に響くわけもなく、「まあ、いいか」と気軽に買ったのです。

 若林さんと言えば、私がテレビでよく見るのは、「激レアさん」です。そこでの若林さんはいつもゲストにツッコミを入れて、番組を盛り上げています。はっきり言ってそんな若林さんしか見ていなかったので、この本を読んで彼の隠された部分を少しだけ垣間見た気がしました。軽いノリの人としか思っていなかった彼は、意外に(大変失礼な言い方ですが)真面目で勉強熱心な方なのです。

 例えば、彼は1年ほど前から家庭教師について学んでいると言うのです。それで、なにを、やはり英会話とかですか?いいえ、世の中の事を東大の大学院の先生から教えてもらっているのです。それを知ってびっくり仰天、それにしてもどうしてそんなことを思ったのか、興味津々です。新聞の記事を読んで理解しようとしてもまるで意味がわからなかった。それで自分は世の中の事を知らなさすぎると痛感したというのです。

 「どうして今のような格差社会になったのか」とか「同じ仕事なのに正規非正規の区別があるのはなぜなのか」と言った質問を先生に矢継ぎ早にぶつけました。そしたら、「まず高校の現代日本史の教科書と経済学入門を読んでからにしてください」と言われてしまったとか。やはり必要な知識がない限り、事実を把握し理解することは難しいらしいのです。

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▲若林さんはサンタマリア・ビーチでカリブ海を満喫しました。本のグラビアから抜粋。

広告のないキューバに行きたい

 若林さんがキューバに行きたかった理由は、「資本主義にはない街に行ってみたい。社会主義の国の人達ははたして幸せなのだろうか?」と思ったからです。はっきり言って人気お笑い芸人である彼が、今も売れないころの鬱屈とした敗北感を抱えているなんて、だれが想像できるでしょうか。ある日仕事でニューヨークに行くと、そこは日本にはない派手で巨大な広告塔がひしめいている世界でした。若林さんはその光景に違和感を覚えてしまい、楽しもうという気持ちが萎えてしまったと言うのです。目の前の景色が「夢をかなえましょう!常にチャレンジしましょう!」と人々に囁き続け、それが励ましと言うよりも脅迫に近いと感じたのです。

 夢に向かって努力する、そして夢をかなえる、ぞれは素晴らしいことです。そして常に「もっと、もっと高く」と願って満足することを知らないようです。向上心が人々の生きる原動力になっているのも事実です。でも「やりがいのある仕事をして、お金を手に入れて生活を楽しみましょう!」などという価値観を押し付けているようにも感じるのです。そんな価値観を肯定できるのは成功者だけで、そこからあぶれた大多数の人たちは諦めるしかないのです。

 キューバに行った若林さんは、そこでも貧富の差があるとわかって目から鱗が落ちたそうです。遊びに行った豪邸の隣にトタン屋根の家があるのはなぜなのか不思議に思いました。後日その理由が、なんでも政府の要人とコネがあると優遇されるらしいのだと知りました。社会主義国と言ってもこの有様なので、もしかしたら人間は人と差を点けたくなるよう生まれついているのかもと実感したそうです。

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