人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

もう十年も使っている洗濯機

今週のお題「マイベスト家電」

最新ではない、でもいい仕事をしてくれる

 私が今使っている家電の中でベストなものと言ったら、それは洗濯機だ。最新でも何でもない、特別な機能なんてないが、私にとっては不可欠な存在だ。パナソニックの8kg洗える洗濯機で、一番の良い所は節水の機能だ。もうかれこれ十年ぐらい使っているが、いつも期待に応える仕事をしてくれる。思えば、この洗濯機を買う際は、電気代も抑えられて、かつ水も節約できるタイプのものが理想だった。なんとも我儘で欲が深すぎるが、実際使ってみると、電気代は分からないが、水道代はいつもより2千円ほど安くなっていた。最初はそんな能書き通りに行くはずがないとたいして期待しなかったので、本当に節水出来るんだと感激した。

 そもそもこの洗濯機を買うきっかけは、それまで使っていた二層式洗濯機の洗濯槽がうんともすんとも言わなくなったからだ。脱水槽の方は大丈夫だったので、初めのうちはこのめんどくさがり屋の私がなんと洗濯物を手洗いしていた。一昔前の人みたいにせっせと洗っていると、それまで感じたことがなかった洗濯機への感謝の気持ちが湧いてきた。人は何かが無くなってからでないとその大切さに気付けないらしい。当たり前のことは有難いことだったのだ。だが、そんな殊勝な気持ちも新しい洗濯機が来るまでの間だけだった。”喉元過ぎれば熱さを忘れる”でまるで何もなかったかのようにに忘れた。

 愛用している洗濯機は6種類ものコースを選択できるようになっている。たとえば、「おまかせ」とか、「わたし流」とか言う名前が付いているのだが、一度試しに「おまかせ」モードにしてみたら大変だった。洗い、すすぎ、脱水のランプが物凄く光って点滅し、いつまでたっても洗濯が終わらない。洗いに20分以上、すすぎもそれはそれは念入りにやり、脱水だって完璧にやり遂げる。待てど暮らせど終わらないので、いつになるかとハラハラして、イライラが募った。だが、考え方を変えてみたら、何も「おまかせ」でなくてもいいのだ。それで「わたし流」にしてみたら、嘘のようにストレスがなくなった。

 ちょうど世の中にすすぎが一回で済む洗濯用洗剤が出始めたときだった。本当にすすぎ一回で大丈夫!?と半信半疑だったが、適当でいい加減な性格のせいか、手軽さには勝てなかった。「わたし流」モードは洗い、すすぎ、脱水の3つの行程を約30分でやってくれる。洗濯機に付いているボタンをよく見ると、ウールなどの「上質洗い」もあるにはあるが、使ったことはない。それから「送風」という機能もあるのだが、これはボタンを押すと洗濯槽が勢いよく回って風が巻き起こり、その風で洗濯物を乾かす?というものだ。だが、まさか、乾燥機ではないのだから、実際は時間の無駄でしかない。

 今の洗濯機は8kg洗えるので、毛布はもちろん夏掛けなどを洗うのにとても重宝している。以前はクリーニングに出したり、あるいはわざわざコインランドリーまで持って行って洗濯しなければならなかった。それを思えば、今は天国のようだ。でも、まさか羽毛布団まで洗濯してしまうなどとは夢にも思わなかった。人生にはまさかの事態は突然やってくるものだ。あの日もそうだった、何年か前のお正月の良く晴れた日だった。親戚の娘が子供と犬を連れて遊びに来ていた。ちょうど帰るという日の早朝に犬が布団にお漏らしをした。犬も慣れない家でどうしたらいいのか戸惑っていたのだろう。助けを求めようにも飼い主は鼾をかいて呑気に寝ていた。おそらく犬の方はもう我慢も限界だった。それがわかっているだけに、犬を叱る気にはなれない。

 それよりも布団を何とかしなければならない。その時の私の頭の中には「羽毛布団はクリーニングに出す」という常識しかなかった。だが果たしてそのまま布団を店に持って行けるだろうかという考えが湧いてきた。そうなると、「とりあえず、家の洗濯機で洗ってみる」という選択肢しか残されていなかった。羽毛布団がダメになるのを覚悟で恐る恐る洗ってみたが、見たところ何も変化はなかった。いずれにせよ、羽毛布団を洗濯機で洗うという行為は苦肉の策に他ならなかった。

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