人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

友人の高級ホテルでの結婚式に想う

今週のお題「お父さん」

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▲目立たない花でもちゃんと自己主張しています。だからそこに咲いているだけでいいのです。

パパの娘でよかった!?

 あれはたしか友達のユリの結婚式でのことです。式の最後に新婦である娘から父親への手紙を読む場面で一番盛り上がるところでした。子供の時のエピソードや父親との思い出を語った後、彼女はなんと「パパの娘でよかったです!」の一言で締めくくったのです。それを聞いて父親は目元を抑えて感極まった様子です。その姿を見て会場の出席者もみんなもらい泣きしていました。こう書くとなんだかテレビや映画のハイライトシーンみたいだし、あの「パパの娘でよかったです」なんていうのもお芝居のセリフみたいではないですか。みんなが感激している中で私と友達はなんだか居心地の悪い思いをして、互いに苦笑してしまったんです。というのは新婦のユリのこれまでを誰よりも知っていたからです。

 ユリは中学生の頃は同じクラスの男子の家族を街で見かけて、お父さんが素敵だとよく言っていました。たしかに母親はPTAの役員で美人だし、いつもそばにいる父親も俳優なみにカッコよかったのです。他人の父親に憧れていたせいか自分の父親とはあまり口もきかなかったみたいです。高校生になってからは父親に反抗して険悪な関係が続いていました。その後大学生になり、社会人になってようやく落ち着いて話ができるようになりました。そんなユリがまさか、「パパの娘でよかったです!」なんて歯の浮いたようなセリフを言うなんて!お芝居の中では父親へのまさに殺し文句ではないですか。

父親の散財に対する感謝?

 考えてみれば、確かにあのセリフは父親にとって最高のフレーズなのかもしれません。これまで親に迷惑かけた謝罪と感謝の気持ちを一言で伝えられるのですから。普通なら素直に「お父さん、今までありがとう」で済むところを大サービスして盛り上げた感じです。いずれにしろ、ユリは自分でやりたい理想の結婚式を挙げられて大満足だった。高級ホテルでのキリスト教式の結婚式で、ドレスは総レースで費用は百万円もかかったとか。髪には王女のようにティアラを付けて夢心地だったし、お色直しのドレスにもこだわってみた。総額四百万円にも及ぶ費用を父親は当たり前のように出してくれた。夢だったけど値段があまりに高いので自分からは言い出しにくかった。でも自分が長女だからかもしれないが、「ユリちゃんの好きにしていいから」と言ってくれた。今にして思うと「パパの娘でよかったです」には父親の散財に対する感謝の気持ちが込められているのかもしれません。

出席者からは不満の声も

 ところが、ユリが自分の結婚式にご機嫌だったのに対して出席者からは不満の声が上がっていたのです。歓談する中でふと耳にしたのは、「このホテルは歌も歌わせてくれないんだな」という年配の男性の嘆きの声です。もちろんホテル側のプランナーにお願いしたのになぜか却下されたというのです。従来の結婚式では当たり前の歌やかくし芸などのアトラクションはこのホテルではどうやらできないのです。このホテルなりのコンセプトがあるらしく、プランナーの許可がないと自由にできないことになっているようです。自分の結婚式なのにプランナーの言いなりにならないとダメだなんて!どう考えても納得いきませんが。それでも結婚する二人の、特に新婦の希望でこのホテルで式を挙げることになったのです。その結果、出席者の感想は「今まで見たこともない新しい様式の結婚式だった」というのがほとんどで違和感を感じた人が大勢いたのです。まさか、あの「パパの娘でよかったです」もプランナーのアドバイスなんてことはないでしょうが...。

 

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