人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ユン君は宇宙人?

大人なのに無邪気、まさか、それだけじゃない

 毎朝楽しくNHKのまいにち中国語講座を聞いている。既述したように、この番組は従来の語学講座とは一線を画している。どんな点でそうかと言うと、普通なら講師しか喋らないのだが、やたらとパートナーのふたりが茶々をいれて、番組を盛り上げているところだ。ネイティブが例文を読んだり、彼らに従って視聴者が発音練習をするのは今までと同じだ。だが、セイラさんとユン君のふたりは、自分の思ったことを自由に発言する。そのことに最初は物凄い違和感を抱いたのにも関わらす、今では返ってそれが新鮮に感じられる。

 この語学講座は講師とMC二人が息の合ったコンビネーションで一緒に作り上げている番組なのだ。従来はゲストとかパートナーとか呼ばれていた”お相手”のふたりも、セイラさんによって”MC”という役割になった。MCと言えば、番組の進行役であって、何事にも動じない、明るい性格のセイラさんにピッタリの役割だと思う。ただ、その分講師の先生の影が薄く感じるのは私だけだろうか。そんな思惑をよそに、テキストにある読者からのお便りのページには、「こんな楽しい中国語講座は今までになかった!?」との視聴者からの感激の声が届いている。

 私が今気になっているのはMCのひとりであるユン君のことだ。テキストに載っていユン君の写真を見ると、若くて背が高い男性だが、それよりは「この人、なんだか学生さんみたい」と感じるのが正直なところだ。それについては本人も、「僕は童顔だから実年齢よりいつも若く見られます」と言っている。そして、番組での発言も無邪気で、NHKという全国放送のマイクの前とはとても思えない、緩さというか、自然体と言うか、隣のお兄さん的なことを自由に、平然として言ってのける。これって、なかなかできないことではないですか?ユン君はもしかして、相当な強心臓なのではないだろうか。

 以前ドイツ語講座を聞いていた時に、冗談だとは思うが、講師の先生が「僕なんて、毎日マイクの前で心臓がバクバクですよ」だなんて言っていたのを思い出す。最初の頃はユン君は小心者でおとなしいだけの人かとも思ったのだが、いい意味で裏切られた。もちろん、セイラさんと同様にユン君も中国人なのだが、流暢な日本語を話す。テキストのユン君のプロフィールを見ると、普通語、広東語、英語、日本語を操るマルチリンガル、との記述があった。これには仰天したが、番組の中でユン君は「もっと大学時代に勉強しておけば、もっと多方面の選択肢もあったのに・・・」と話していて、少し後悔しているらしい。となると、語学が堪能と言うのは勉強ができるという頭の良さとは違うものらしい。香港に生まれ育ち、高校時代は米国に留学して、日本に来たのは大学の時だ。

 それから全力で日本語を覚えて、今では日常生活には不自由はしないそうだ。映画製作と同時にタレント活動もしているとの記述があるが、半年を過ぎた今でもユン君が一体何をしている人なのかは、具体的には分からずじまいだ。謎の人だから、もしかしたら宇宙人かも知れないと冗談を言いたくなる。以前番組のトークコーナーで「思い切って○○してみる」というテーマが出されたことがあった。○○は自分の苦手なことで、それをあえて突破するというか、清水の舞台から飛び降りるつもりで挑戦してみたら、自分の中の何かが変わるのではないかというようなお題だった。

 ユン君の○○はジェットコースターに乗ることだった。高い所が苦手で、怖いので今まで乗ろうだなんて考えたこともなかった。それに敢えて○○しようだなんてことは将来も未来永劫、絶対あり得ない。そこまで聞いていたら、次に「僕は飛行機も駄目なんで・・・」!?と仰天せずにはいられない発言をした。間髪入れず、セイラさんが「じゃあ、どうやって日本に来たの?」とツッコミを入れた。そりゃそうだ、可笑しすぎる。すると、ユン君は「だから、香港に帰れなくて困ってるんですよ」などとへなへなとした何とも情けない声で答えた。

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