
緊張のあまり、ついつい軽口を
台風15号の影響で、昨日は天気予報通りに朝から雨脚が強かった。だが、今の私には行くべきところがあるので、雨だから嫌だなあという皆が抱くような気持ちはさらさらなかった。ただ、外に出て、傘をさして、歩けるだろうかどうかだけが心配だった。幸いにも思ったほど風は強くなくて、安堵した。いつものようにプールまで20分足らずで歩いて行けた。プールの更衣室で知らない人に声をかけられた。「こんなひどい天気だから、誰もいないと思ったけど、そうでもないのですね」と背後から言われて、「プールは私にとって心のオアシスですから」などとおどけて答えた。その直後に入場開始の監視員さんの笛が鳴り、イソイソとプールサイドに行くと、何のことはない、いつもと同様に人がたくさんいた。
そこでもまた、そんなにことばを交わす人でもない女性に声をかけられた。それで、「こんな雨の中をプールにようこそいらっしゃいました」などとふざけたことを言ってしまった。何だかその日の私は、小心者なのに、一転大胆になっていたようで、どうかしていたとしか思えない。よく知らない人に言わなくてもいいこと、余計なことを言ってしまうなんて、かつての私なら考えられない。たぶん、その日の私は気分が良くなくて、そう親しくない相手にお茶らけたことを言ってしまうほど緊張していたとしか思えない。そう、その日は4月から通っている外科クリニックに行くことになっていた。そこへ行くのがどうにもこうにも嫌で、不機嫌になっていたのだ。
なぜ、嫌なのか、病院に行って、左膝に痛み止めとヒアルロン酸注射を打ってもらうだけなのに。その注射も麻酔をしてからするので、全然痛くない。なので、怖がる必要などないのに。たったそれだけのことなのに、行きたくないのは、肝心の左膝が未だに歩くと痛くて、良くなる兆しが全く感じられないからだ。先生にも、毎回、「こればかりは、どうしても時間がかかりますからね」と諭されるが、本当のところは納得できない。もしかしたら、私の場合は治らないのかもと絶望的な思いが心をよぎる。
考えてみると、最初の整形外科をやめて、今の外科クリニックに通うようになってから4カ月近く経った。関節液が溜まるのを止めるのに2か月もかかり、普通の人は1週間もすればOKなのと比べると私はどう見ても異常だ。その私が果たして、整形外科で全治3か月と言われた挫傷(骨の中の骨折)を克服することができるのか、どう考えても疑問しか浮かばない。先の整形外科の先生の話が正しければ、私の膝は今月で治るはずだが、良くなっていると言う感触がさっぱりない。安易な期待はかえって心を乱すおそれがあるので、希望的観測はしないに限る。今度、外科クリニックに行くのは3週間後で、9月の終りだが、その時のことを考えただけで、私の心には暗雲が漂うのである。
何も私は贅沢を言っているのではなく、ささやかでもいいから、一条の希望の光が欲しいだけなのだが、それが見つけられない。実は最近、水中ウォーキングをしていて、あれ!と思うことがあった。それは水中では痛いはずの足がなんともスムーズに動き、意識しなくても、自然と早く歩けることだ。いや、何も早く歩くことを目指しているのではない。水中でののんびりとした散歩を楽しみたいだけなのだが、足が勝手に動く、と言った表現がぴったりな現象が起きているのである。以前は歩き終わって、プールから上がると左足が痛くてどうしようもなかったが、今ではそう気にもしなくなった。
最初は水中ウォーキングの効果を自ら確かめたくて、少なくとも3か月は頑張ってみようと思ったが、実際3か月が経ってみると、とても足りないことに気が付いた。なので、足がこの先良くならなくても、この挑戦をやめるわけにはいかない。
mikonacolon