世の中、そんなに甘くないと覚悟したら
昨日(10月11日)の続き
どうしたものか、途方に暮れた。テーブルのガラスの中にある水が一瞬で消えてくれないだろうか、などと神様にお願いしても、埒が明かない。こんな失敗をするのは何しろ初めてなので、いや、胸に手を当てて考えてみると、そうでもない。去年のパリのホテルでも、危うく部屋を水浸しにするところだった。でも、それというのも、私には全く非がなくて、そもそもあれはシャワー室が水漏れをするようにできていたからだ。なにしろ、扉の下の部分にあるはずのパッキンが無かった。シャワーをするときに、「これ大丈夫か?」と危機感を抱いていたら、まさかまさかの大当たり。それからが大変だった。いつもならベッドでだらだらするのに、水浸しになったバスルームと部屋の半分ほどをバスタオルで拭きまくった。それでは足りず、洋服ダンスの棚にしまってあった毛布まで動員して証拠隠滅に躍起になった。ビショビショになったスリッパを復活させるのに役立ったのは、なんと日本から持って行った新聞紙だった。まあ、部屋の暖房の力も少なからずあったと思うが、スリッパの水分を一晩で見事に吸い取ってくれた新聞紙は偉大なアイテムだとつくづく思う。
話が逸れたが、テーブルの水たまりを目にしたら、落ち着かない。どうしよう、どうしようと気になって、その事しか考えられない。何も言わずホテルを出たら、きっと後から、テーブルをダメにした追加代金を請求されるに違いない。それに、ドキドキしたままでは何をするにも苦痛でしかない。こんな時、一番いいのは正直に非を認めてしまうことで、弁償させられたとしても、それはそれで諦めることにした。フロントに行って、スタッフに部屋に来て貰おうと考えた。エレベーターに向かう途中で、何やら人の話し声がするのが聞えた。声がする方に歩いて行くと、掃除の係りの女の人が二人いた。部屋に来て見てもらおうと声を掛けた。
「私と一緒に部屋に来て貰えませんか?」と頼むと、快く承知してくれた。部屋へ向かう途中、今とても困っていて、テーブルに水をこぼしたら、テーブルが水浸しになってしまったことを説明する。部屋に入ると、テーブルを指さして、こんなになっちゃったんですけど、どうしたらいいですか」と訴える。こちらは何を言われるかと気が気ではない。心臓がドキドキする。それなのに、その女の人はこともなげに、「大丈夫、何も問題ないですよ」と言ってくれた。こちらが信じられないという顔をしているというのに。「ええ!?本当にいいの?」と恐縮するばかりだ。ホッとしたら、脱力感で疲れを覚えた。
○美味しいデリのあるHenryのこと。
10月10日の午後2時に行った時、もうすでにチキンカレーは半分もなかった。どうやら祭りの後のようで、ピークは過ぎたらしい。パプリカ、ブロッコリー等の野菜とキノコを炒めた総菜とチキンカレーを容器に詰めたら、6.27ユーロだった。日本円にすると、約千円ぐらいだろうか。夕食もこのデリにしようと決めて、夕方にまた来ることにする。だが、その考えは甘かったようだ。再度5時ごろ行ったら、もう何もなかった。どっさりと総菜が入れてあるはずのトレーの中はすべてスッカラカンで仰天した。何もなくても、一応は営業しているのだ。要するに、昼に惣菜を出して、売切れたら、それでおしまいというシステムのようだ。それでも、スタッフがお代わりを補充しているのを目撃したこともあるのだが。この店の営業時間は午前8時から20時までと書いてある。因みに気になったので、朝の10時ごろ行ってみたら、総菜はなかった。クロワッサンとサラダが数種類ある程度で、たいして魅力はなかった。やはり、イートインのスペースにも人はいなかったので、ここの店は昼が狙い目のようだ。
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