人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

エル・コルテ・イングレス

予想外の品揃えの良さに大満足

 マドリードで泊まったホテル・アギールは観光名所に近く立地が最高だと、昨日のブログに書いた。宿泊代は3泊で330ユーロで、日本で両替した時に1万円が約60ユーロだったことを考えれば、おおよそ5万5千円ぐらいだろう。1泊が2万円しないのはどう見てもお得だ。さて、では肝心の部屋はどうかと言うと、綺麗さっぱりとしていて、清々しいくらいに何もない。ダブルルームだから、部屋は広いが、冷蔵庫はもちろんのこと、湯沸かしポット、マグカップもない。でも、バスルームにドライヤーはあるから、生乾きの洗濯物が乾かすことはできる。正直言って、何か物足りない気がするが、ここに来た目的は部屋の外にあるのだから、殺風景な光景を見ないふりをしてやり過ごすしかない。当たり前のことだが、トイレの水漏れはないし、シャワー室から水が漏れることもない。それに暖房が効いていて、暖かく過ごせるのが有難い。それを思ったら、あったらいいなあと思えるサービスがないくらい、何だと言うのだ、それくらいどうってことない、と自分に言い聞かせた。

 ただ、5年前に比べて、ホテルのサービスが手薄になってきているのもひしひしと感じる。5年前のことを言うと、ひんしゅくを買うかもしれないが、あの時は確かマドリード駅前のテラス付きのホテルに泊まった。最上階のダブルルームだったが、湯沸かしポットも、コーヒーステイックも、ミネラルウォーターもちゃんとあった。身の程知らずで贅沢になってきている私にはそれが普通のことだった。宿泊代はと言うと、それでも一泊3万円もしなかったはずだ。だが、もはやこれからはそんな値段では泊まれるはずもないと推測できる。それはあくまで5年前の事で、過去の話で、時代は変わってしまったのだとはっきりわかる。

 昔はよかったなどと、言うつもりはないが、落胆していたことは言うまでもない。そんな私を楽しい気分にさせてくれたのは、ソル広場付近にあるスーパー、エル・コルテ・イングレスだった。ここはスペインの百貨店チェーンの支店の中にあるスーパーで、以前バルセロナに行ったときも見かけたことがあった。だが、表からはどんな店なのかわからず、通り過ぎるだけだった。まさか、地下に食料品店やスーパーマーケットがあるだなんてことは思ってもいなかった。考えてみると、私はスペインでスーパーに行ったことがなかった。というのも、すべて外食で、自炊をする必要を感じないくらい、安くて気軽に入れる店があちらこちらにあったからだ。

 そんなわけで、今回はスペインのスーパーがどんなものか知りたくて、あらかじめネットで調べておいた。このエル・コルテ・イングレスもそうやって知ったのだが、たいして期待してもいなかった。パリのモノプリやリドル、スパーなどとたいして変わらないと思っていたが、それは大きな間違いだった。今回、10年ぶりくらいにパリのスーパーに行って見たが、やはり買うべきものはなかった。水と果物ぐらいしか買えなかった。総菜売り場もざあっと見たが、昔よりも売り場が縮小されていると感じた。だいたいが、スーパーに来るのは観光客がほとんどで、地元の人は滅多に来ないことは知っていた。

 さて、このエル・コルテ・イングレスで何が嬉しい驚きだったかと言うと、ここでは美味しい物を売っていることを発見してしまったからだ。パリのスーパーにはなくて、このスーパーにあるもの、それは観光客には喉から手が出るほど欲しい物、つまりすぐ食べられるデリカが売っていると言うことだ。デリカなんて、意味も何もわからないハイカラな言葉を使ってしまったが、買ってすぐ食べられる総菜と言うか、食べ物のことだ。例えば、トルティージャー、これはポテト入り卵焼きで、ボンレスハムのような形状のパックに入っていて、値段は2ユーロしない。買い物をした後、ホテルに帰ってすぐに食べたが、冷たすぎず、想像以上に美味しい。他にも、チキンカレーや、肉団子の煮込みのパックもあって、自炊の際のおかずに最適だった。

 特筆すべきは、タコスで、2個入りで、3.25ユーロはとても安い。物価高のスペインにあって日本円で500円程度で、”おいしい”を実感できてしまえることが信じられない。どこかの飲食店で食べるより、ずうっとお得だ。タコスのパッケージには、「ラップ・ポロ・カレー・デラックス」のラベルが貼ってあり、何とこんな美味しい物に出会えたのが、スペイン最後の日だったとは。旅行ノートの隅には「もっと早く出会いたかった」との文字が残っていた。

mikonacolon