人生は旅

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インターネットの効用

はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」

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グーグルの地図を見ていたら、突然写真に変って

 最近、私はグーグルのストリートビューというものあることを知りました。ある作家のエッセイだったり、新聞の投書欄から称賛の声が聞こえて来たからです。家に居ながらにして世界の有名な観光地に居るような雰囲気を味わえてしまう、まさに目から鱗で感激してしまうそうです。ある人などは子供の頃住んでいた田舎の住所を打ち込んだら、なんと見覚えがある建物が現れて仰天しました。当時と何も変わらない光景が信じられなくて、現地に実際行かなくても目にすることができることが夢のようでした。こんな魔法のようなことを現実にしてしまうなんて、インターネットは素晴らしいというべきか、それともやりすぎというべきか。いずれにしても、インターネットの効用の一つといえるでしょう。

 私も以前旅行の準備をするときに、グーグルの地図に助けられたことがあります。それは、何度も行っている場所の位置を本当の意味で知ることができたからです。例えば、私の場合はロシアで、サンクトペテルブルクから乗り合いバスで20分のところにあるエカテリーナ宮殿でした。大きなビルなど何もない緑豊かな閑静な田舎、そんな表現がぴったりな場所にその美しい建物はありました。バス停から見えるのは森だけで、遮るものは何もないのに、あのブルーと白の美しい姿は見えません。何回も行っている場所なので道はわかっているつもりでしたが、いつもバスに乗り合わせた人や村の住人に聞きながら運よくたどり着いていたのです。正直言って、バス停から宮殿までの正確な道など知らなかったわけで、当然位置関係など頭の中にはありませんでした。

 もちろん、ガイドブックなどでは小さな地図は載っているのですが、現地に行くと空から見下ろすようには見ることができないので、全く位置関係がつかめませんでした。最寄りのバス停はちょうど曲がり角にあって、いつも黄色い看板のところを曲がって次のバス停に行きます。そこから宮殿までの道のりを正確に知りたいとずうっと思っていました。もちろん、詳しい地図などはガイドブックには載っていません。それでダメ元でグーグルの地図を開きました。最初はいつもの平面の地図でしたが、マウスを動かしていたら、何やら写真のようなものが見えてきました。緑と茶色のコントラストの風景、それはどうやら「鳥が空から世界を眺めているような」景色だったのです。空を飛んでいる飛行機から下界を見下ろしているように錯覚してしまう映像に仰天してしまいました。

 「なんだこりゃ!」と思わず叫んでしまいました。バスが曲がる塀にある黄色い看板もはっきりと見えてきて、さらにマウスを動かすと、緑の中に宮殿が現れました。地図を縮小して、ガイドブックの地図と見比べて見て初めて、やっと周辺の様子がわかってきたのです。平面の地図はないよりはましですが、上から眺めたような映像にはかないません。エカテリーナ宮殿のようなバスからの車窓がたいして変わらない場所はもちろん、有名観光地においてはなおさらインターネットの効用を痛感してしまいます。

 例えば、昔はとても高くて手が出なかった、モスクワのクレムリンの近くにあるホテルを予約した時のことです。もちろん前もってホテルの位置を地図で確認しておくのですが、平面でしかも目印となるものが何もないので不安になりました。それでグーグルの地図で周りに何か有名な建物がないかと調べていたら、何度も見たことがあるドストエフスキーの像が見えてきたのです。そしてクレムリンに面した大通りにあるあの堂々とした茶色の建物の影が現れたので、「なるほど、あそこだったのか」となりました。その場にいるような感覚でホテルの位置を確認できたのがとても信じられませんでした。平面の情報だけでは苦労することも多いので、映像は想像以上に私たちを助けてくれるものだと気付きました。そんな夢のようなことが体験できるのもすべてインターネットの効用なのだと実感したのです。

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