特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」
やりたいこと、できるかなあ、という素朴な疑問
どう考えても、２０２２年はどうにかこうにか、正気を失わずに生きてこれた気がする。それが私の去年を振り返っての正直な感想だ。糸の切れた凧のように、ふわりふわりと宙ぶらりんに生きて来た。以前のような楽しみもなく、目標もなく、一日を滞りなく終えることに集中した。そんな生活を可能にしたのは早起きの効用だ。朝早く起きて、太陽の光を浴びることは、うつ病患者の治療法にも用いられている。だが、今年もこの生活を続けるかどうかなると、返答に困ってしまう。表向きはちゃんとしてはいるが、中身が空っぽだからだ。
早起きは確かに気持ちいい。だが語学の勉強も中断し、今ではNHKのラジオテキストを買うだけの日々だ。どこかに行けるという現実が消えてしまったので、やる気というか目標を失った。どうせやっても使えなければ意味がないというか、頭の中で自分が使う姿を描けないのだから。まさに失意の日々を悶々と過ごしてきたのだが、さらに追い打ちをかけたのは去年の２月のロシアのウクライナ侵攻だった。それでも、最近では普通の人が海外旅行に行き始めた。私に言わせれば、その人たちは一歩踏み出す勇気がある人としか思えない。
海外旅行には行ってみたい。今年の目標は旅行に行くことだと宣言したいのだが、まだそんな気になれないのが正直なところだ。そうなのだ、私は急激な変化が怖いのだから。どうしようもない臆病者だと認める。私にはまだ時間が必要で、旅行のための準備も必要だ。ここでの準備とは旅行に行くための環境整備で、何の心配もなく旅立てる状況を作ることだ。旅に出かける時のあのワクワク感、あの気持ちよ、もう一度我に帰れと念じてみる。だが悲しいことにさっぱり湧いてはこない。
それに私には解決しなければならない問題がひとつあった。それはコロナ禍になる前に行ったロシアの空港で荷物検査の時に変圧器を没収されたことだ。長年愛用した変圧器を取られたときは目の前が真っ暗になった。乗り継ぎのフィンランドでOKなのになぜサンクトペテルブルクではダメなのかがわからなかった。まあ、変圧器を没収されたのが帰りのフライトだったのが不幸中の幸いだったが。正直なところ、「これから変圧器なしでどうしよう」と絶望したことも確かで、「もしかして、これが私の最後の海外旅行！？」とまで思いつめた。帰国して、ネットで変圧器を探したが同じものは見つからなかった。かれこれ１０年くらい前に「地球の歩き方」関連のショップがまだあった頃に買ったものだから、今ではもう手に入らないのかもしれない。困り果てていたところに突然コロナが流行し、「もうこれで変圧器を探す手間がいらなくなった」と悟った。
なぜそんなに変圧器にこだわるのかと言うと、あれは旅のお守りというか、実にいい仕事をしてくれる必要不可欠なものだからだ。私だけかもしれないが、日本人にとって外国の食事は無味乾燥で貧しいことこの上ない。朝食にパンとコーヒーが当たり前の外国人にとってはなんてことはないかもしれないが、当方は何日もパンが続くと耐えられない。そんなときに炊きたてのご飯は何よりのご馳走だ。ふりかけだって味付け海苔だって何だっていい。私の旅の必需品は炊飯器と変圧器だった。だから私が今すべきことは３００ワット以下の変圧器を探すか、あるいは外国で使用可能の炊飯器を探すことに尽きる。
それから重要なのは言葉で、完璧を目指す必要など全くない。とにかくゼロよりも１でも２でも多ければいいのだ。現在の私は語学の勉強をサボっているから、行く気が出ないのだ。行く気になれないから、現実味を帯びないから、一歩踏み出すこともできない。行く気がないからやる気も出ないという悪循環に陥っているだけだ。だからこう考えてはどうだろうか、とふと思った。語学の勉強にしろ、資格の勉強にしろ何にしたって、それに打ち込めばある程度の達成感は得られるに違いないと。
達成感という言葉を思い出したのは、以前新聞で失業している人がどう過ごしているかに焦点を当てた記事を読んだからだ。職安で仕事を探すその人は、失意の日々を漢字検定の勉強をすることで乗り越えていた。その人曰く「何かしてないと不安でしょうがないんですよね、だから毎日手を動かして漢字を覚えているんです」。そうなのだ、なんだかんだと周りのせいにして言い訳をしていても何一つ始まらないのだ。「役に立たないことかもしれないけれど、こうしていると達成感のようなものを感じる時があるんです」とも話していて、それを読んだ私は”達成感”だなんて、なんて魅力的は言葉なのだろうと胸が熱くなった。お金では買えるわけもないが、それが自分次第で手に入るのだから試してみる価値はある。
mikonacolon
