人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

なぜ、炊飯器を持っていくの?

郷に入らば郷に従え、それでもやはり・・・

 以前のブログで、海外旅行には必ず炊飯器を持って行くと書いた。実際にコロナ禍に突入する直前に姉たちと行った台湾旅行にも持って行った。思えば、あんなグルメ満載の人気観光地になぜ炊飯器がいるのか、甚だ理解に苦しむが、なんのことはない、大正解だった。姉から旅行の日程を組むように頼まれた私は、責任重大とばかりに張り切った。本屋に行って、台湾のガイドブックはもちろん、グルメ紀行の本や役に立ちそうな漫画本までありとあらゆる資料を買って万全の態勢で臨んでいた。私の頭の中にはすでに美味しすぎる台湾のイメージが刷り込まれていたが、自ら勉強したことによってますますその素晴らしさは膨れ上がっていった。

 だが、グルメ本を見ていたら、ある店のメニューに”牡蠣と野菜のみそ炒め”いうのがあって、色が黒々としていてなんだか脂っぽかった。それまで、牡蠣というものをカキフライとかあるいは、なべ物に入っているカキしか食べたことがなかったので、少し違和感を抱いてしまった。もちろん本には“おいしい”と書いてあるのだが、メニューにある写真をようく見てみると、どこかで見たことのある料理に似ていた。つまり、中華料理店にあるのとそっくりなのだ。あくまで偏見なのだが、私は中華料理の美味しさが分からないし、どちらかと言うと苦手だ。すぐに飽きてしまうので、自分から積極的に食べようとは思わない。でも、もちろん、誘われれば断らない。

 それで、その時私の頭に中にはある一つの疑問が浮かんだ。マスメディアでは台湾はグルメ大国だと褒めまくってはいるが、もし、彼らが讃えているグルメが自分が苦手なあのような”中華料理”だとしたら、どうしたらいいのかと。ふと思った、些細な疑問はすぐにどうしようもない不安に変わり、それを払拭するために、私は保険を掛けることにした。要するに、いつもの海外旅行に行くときと同様に、炊飯器を持っていくことにしたのだ。でも正直言って、それはあくまで”もしもの時”のためで、まさか、あんなに役に立つだなんて思いもしなかった。

 実に悲しいことだが、私の不安は的中した。現地に行ったら、台湾に対する幻想は見事崩壊した。台湾の台北での宿泊先が民泊で高級マンションだったことも幸いして、3日間そこで自炊生活をした。ルンルンで旅行を計画した身としては何ともやるせない結果になってしまった。人気観光地の九份(チーフェン)では、観光バスで道路が埋め尽くされる光景に衝撃を受けた。だが、姉が屋台の匂いがダメで、つまり、ホルモンかなんかを焼いている匂いが臭すぎて逃げるように歩くので、追いかけるのに冷や汗をかいた。風光明媚な場所とガイドブックにはあったので、茶屋にでも入って、ゆっくりしようと思っていたが、それどころではない。姉が、いや一緒に行った義姉のミチコさんまでもが、「早く帰りたい」という始末だった。

 炊飯器の話に戻ると、台湾は日本と電圧が同じなので、変圧器は必要なかった。だが、本音を言えば、なぜ台湾に行ってまで、炊飯器で自炊をする必要があるのだろうか。いや、違う、そうではなくて、友だちや同僚に、「台湾はどうだった?食べ物は美味しかった?」と聞かれると返答に困るのだ。適当に言葉を濁しておけばいいものを、ついつい本当のことを話したら、大変なことになった。それまでの穏やかな空気が一変し、途端に私を見る目が厳しくなる。「何この人!」とばかりに「変な人ねえ」と口には出さないが視線がそう訴えている。あんな美味しい物ばかりある台湾に行きながら、その素晴らしさを満喫できない可哀そうな人、それが私だった。

 以前既述したように変圧器を空港の荷物検査で没収された経験があるので、皆さんはどうしていらっしゃるのか知りたくなった。そうなると、ネットで検索して聞いてみるしかないが、残念なことに欲しい情報はあまり得られない。それに、「どうして旅行に変圧器が必要なのですか」という、まことにつれない意見もあって、ほとんど参考にならない。今の私は、変圧器を預け入れ荷物に入れるか、それとも持ち込むのか、で迷っているところだ。

mikonacolon