人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

アウシュビッツの個人見学の予約取れました

3時15分で遅い時間だが、そう贅沢も言ってもいられない

 今回ポーランドへ行く最大の目的はアウシュビッツとビルケナウの見学だった。この二つの強制収容所の見学はセットになっていて、各自バスでビルケナウに移動することになっている。ガイドツアーに参加するにしても、個人で見学する?にしても、まずはアウシュビッツの公式サイトにアクセスして、予約を取らないことには始まらない。

 そこで立ちはだかった壁は言語の問題で、たいていはポーランド語か英語のガイドツアーで、英語の枠はすぐに埋まってしまうそうだ。だが、英語の聞き取りもおぼつかない私のような輩がはたして、ガイドの説明を理解できるだろうか。そう考えると、甚だ落ち着かくなってきた。はっきり言って、英語のツアーに申し込むのは朝飯前だが、どうなるかを想像してみると、鮮明なまでに自分のどうしようもない姿が見えて来る。たいして理解もできないのに、わかったふりをして、体裁を取り繕わなければならないだろう。やはり、できれば日本語がいいと思ってしまうのは当然だ。

 だが、当たり前のことだが、公式サイトに日本語ツアーは見当たらない。なんとかならないものかと、ネットで検索すると、ある旅行社の企画で、アウシュビッツを日本語で回るツアーがあることを知った。その内容は、ツアーそのものは英語のガイドさんだが、彼が説明するそばから日本語に通訳してくれるアシスタントの人が同行すると言うものだ。約3時間30分のツアーで、お昼休憩が45分入り、料金はなんと140ユーロとわかって仰天した。だいたい今のレートで1万円が60ユーロぐらいだから、日本円にすると、2万3千円もするではないか。これには開いた口が塞がらない。

 そもそもアウシュビッツの見学自体は無料で、たとえ英語ツアーに申し込んだとしても料金は日本円で4400円くらいで済むと言うのに。どうしても日本語で見学したい旅行者の足元を見るようなやり方に憤りを隠せない。とは言っても、どうするのが一番いいのかさっぱりわからず、五里霧中の状態だった。そんな時、ふと思い出したのは、以前言及したことがあるジャスティンさんという人のブログだった。

 そこには、売店で「見学の手引き」という日本語版の冊子を買えば、個人で回るのにも不自由はないと書いてあった。事実、他の人のブログにも「わかりやすくて、迷うことなく回れた」との感想が多数あった。それがあれば、私なんかでも回れるのではないかというささやかな希望が生まれた。聞くところによると、その冊子は日本人で唯一のアウシュビッツ公認ガイドである中谷剛さん自身が作成されたものらしい。道理で役に立つはずである。

 検索の途中、偶然、その中谷さんにガイドをお願いしてアウシュビッツを見学したというカップルのブログにいきついた。何でも4カ月前から中谷さんにメールを送っていたにも関わらず、実際の催行日が決まったのは10日前だと言うから驚かずにはいられない。まさにぎりぎりのタイミングである。それくらい日程の調整は難しいのだ。それだから、ある記事では、どうなるかわからないから、”保険”をかけるつもりで、英語ツアーの予約を確保しておいた方がいいとアドバイスする人もいた。

 私も中谷さんにもっと早くお願いすればよかったという思いが一瞬脳裏をかすめたのも確かだが、そんなに簡単なものでもないらしいと諦めた。となると、残るは個人見学の予約を何とかして取ることだった。幸いにも、カップルのブログに詳しいサイトでの予約の仕方が載っていて、「そうだったのか」と目を見張った。予約の日付をクリックし、ガイドツアーが満載の画面を最後までスクロールすれば、あれれ、なんと3時15分から4時45分までは個人見学の枠があった。知らなかった、こんなことになっているとは!早速、わずかに1枠しかない3時15分の予約をクリックする。ジャスティンさんによれば、効率的に回っても2時間30分かかると言うから、想像もつかないほどアウシュビッツもビルケナウも広すぎる。

 予約が取れたことに感激していた私は、帰りは相当に遅くなることをすっかり忘れていた。クラクフ駅からアウシュビッツまではバスで1時間30分もかかるのだった。仕方ない、そんな不測の事態に備えて駅前のホテルを取っておいたので、それで良しとしよう。

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