人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

コロナ前の自分からの卒業

今週のお題「〇〇からの卒業」

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以前の価値観を捨てて新しい自分に

 日本でもやっと新型コロナのワクチン接種が始まりました。呑気な私はこれでやっと自由になれると浮かれていました。つまり、少なくとも年内にはワクチンが行きわたるはずだから、来年には海外旅行に行けるかもしれないという希望が湧いてきたのです。ヨーロッパはまだ無理だとしても、感染者が比較的少ないアジアぐらいなら行けるではと思えてきたのです。ワクチンがまさに希望の光のように感じられたのです。ところが事はそう簡単ではないようで、変異種も拡大しているせいか、右往左往しているのが現実です。でもコロナが終息したとしても、生活は元に戻るのだろうかと考えたら、答えに窮してしまいます。これまで変わらないと信じていたものが、どれだけ脆いものであったか、この世の中に変わらないものなどないのだと思い知らされました。もはや疑心暗鬼で、何を信じたらいいのかわからないのです。それでも、何かにすがって生きて行かなくてはなりません。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の中でカンダタが今にも切れそうな儚い蜘蛛の糸にでもすがりたかったように。

 今の私は先のことは考えられないし、ましてや旅行の計画などもってのほかです。早朝に起きて散歩に行くのが楽しみで、帰って来たら淡々と目の前の仕事をこなすのみです。新聞によると、2020年の日本人の家庭の貯蓄率は過去最高らしいのです。だからコロナが終わったら、大勢の人がせき止められていたダムの水が流れ込むように、我先にと旅行に行きたがる、と旅行業界は予想しているようです。果たして本当にそうなるのか。視界が雲に覆われてよく見えない世の中にあっては、本当のお金持ちしか不要不急?の楽しみのためにお金を使う気にはなれないのではとも思うのです。ただ、人間の価値観は多様なので、旅行を人生における優先順位の第一位と考える人もいるのです。例えばイタリアやフランスのようなヨーロッパの人達は「すべてはバカンスの楽しみのために働く」のだそうです。旅行シーズンで海外から人が大勢来たとしても、彼らは2週間程度の夏休みは必ず取るのです。以前、絶対行ってみたいパン屋にあげられる店を訪ねて行ったら、張り紙がしてあって、「ただいま、バカンス中です」と書かれてありました。その時、初めて彼らにとってバカンスは譲れないものであり、人生において何よりも大切なイベントなのだと実感したのです。

 一方、私たち日本人はバカンスを人生の最重要課題にはあげられないのです。私にとっても同様で、海外旅行は決して不可欠な物ではありませんでした。それを生きるよすがにしていたわけでもなく、単なる気分転換のために利用していたのです。今から考えると、それはあまりにも高くついて、そして時間がかかり、トラブルばかり生み出してきたことか。それって、お金と時間の無駄じゃないと一刀両断されても、返す言葉が見つかりません。ただ、まぎれもない真実をあげれば、今の私はこれまでの経験によってできているということです。つまり私のやって来たことに無駄なことなど、何ひとつなかったということなのです。高い代償を払ったおかげで、と言えばそれまでですが、トラブルには必ず感動が付き物だからです。不思議なことに、日常生活においてのトラブルにはジタバタしてしてしまうのに、旅行先でのトラブルには冷静に対処できてしまう。なぜなら、ある程度の予測がつくのと、「これから出会う人はみんないい人」といつも自分に言い聞かせているからです。だから躊躇なく見知らぬ他人を頼ることができるので、問題が解決するのも容易なのです。

 でも、コロナが終息したとしても、今までのように海外旅行を気楽に楽しめないとも思うのです。それはある感染症専門の学者の人の発言からも薄々感じているのです。「もともとウイルスは奥深い森林に眠っていたはず。それを人間社会に持ち込んだのは当の人間に他ならない。ウイルスを撲滅することばかり考えている限り、感染症は何度でも人間を襲うだろう」とその人は経済優先の社会に警鐘を鳴らしているのです。それなのに社会は変わりそうもない、でも自分を変えることはできるはずです。だから以前の価値観を捨てて、新しい自分を発見しようと決めました。「これって、ほんとに自分?」と思えるようになったら大成功といえるでしょう。

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