人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ロシアで途方に暮れる

今週のお題「人生最大の危機」

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ロシアのモスクワで路頭に迷う

どう考えてもあれが自分の身に起きた最大のピンチだと思うのです、だってその日泊まるところがないんですから。サンクトペテルブルグからモスクワまで列車に乗り、夜8時すぎにレニングラード駅に着きました。今ならこんな遅くに知らないところに着いてどうするのという常識が働きますが、当時はどうかしてたとしか思えません。今から思えば、乗る電車からして間違ってます。あとで知ったのですが、ロシア人はサンクトペテルブルグからモスクワまでの約8時間を夜行寝台列車で移動します。昼間座ったままで8時間乗るより、夜乗って寝てる間にモスクワに着くほうが合理的だと考えるのです。それも人気があるのが3等寝台の扉がない開放寝台でプラツカートヌイと呼ばれます。しかも値段もすごく安くて3千円しないのです。ロシアは日本に比べると鉄道などの交通機関の料金が驚くほど安いです。

ホテルにはたどり着いたが

さて話を元に戻して、モスクワに着いて地下鉄に乗り換えてプロスペクト・ミーラという駅に着きました。ネットで予約しておいたホテルの最寄り駅で、そこから歩いて15分ほどだそうです。地図は一応持っているのですが、途中で道が分からなくなってしまったので誰かに聞くことにします。ちょうど大型犬と散歩に来ていたご夫婦が親切にも近くまで送ってくれました。公園の近くにあるホテルらしきビルを指して「あそこがそうよ。気を付けてね」と心配してくれます。おかげでホテルにはなんとかたどり着きましたが、実はそれからが問題だったんです。

ホテルを間違えた?

レセプションで予約確認書を見せたら、なんとそのホテルはここではないというのです。確かに住所はあっているのに、私の予約したホテルは地下鉄を乗り継いで30分ほどのパルク・クリトゥールイにあるそうです。そして、ホテルの地図と住所、電話番号などが書いてある紙を見せてくれます。時計を見るともうすぐ夜の10時になろうとしていました。どうしよう、絶対絶命の危機です。なにも言えずぼう~っとしていると、電話の受話器が渡されて、話すように促されます。受話器の奥から英語の話し声が聞こえます。どうやら予約したホテルに電話をかけてくれたみたいで、むこうの人から今からそちらに来るように言われます。今から、それも夜の10時に場所も詳しく知らないホテルに行けるかどうか考えました。とても行けないと思ったのですが、言葉が出てこなくて答えられずただ受話器を握っているだけです。ホテルの人は私が何も話さないので受話器を取って相手と何か話しているみたいです。周りのことなど考えられない私は、どうしたらいいかわからなくてその場に座り込んでしまいました。

救いの手が差し伸べられて

そんな私を見かねたのか、ホテルの人から救いの手が差し伸べられました。このホテルの部屋はバス・トイレが共同の部屋しかないけど、それでもいいならここに泊まってもいいと言うのです。紙にちゃんと絵を描いて私にわかるように説明してくれました。2つの部屋の真ん中にバス・トイレがあってそれを共同で使うのです。ようやくその日の宿がなんとか確保できてほっとしたら涙が出ました。「大丈夫、問題ないから安心して」とレセプションの人から声をかけられ、慰められました。部屋に案内してくれたのはちょっと怖そうな女の人でしたが、すごく親切で心配は無用でした。部屋のスタンドの電球が切れていれば、すぐに取り替えてくれるし、濡れたバスタオルを部屋に干していればそれも取り替えておいてくれます。

ロシアだからこそ助けられた

ロシアだからこそ助けてもらえたと思っているんです、いまでも。あれがもしヨーロッパの国だったら、間違いなく放って置かれたと思います。冷たいとかではなくてそれが普通だからです。ホテルが間違っていると言われたらすぐに帰るしかないのですから。実をいうと、私が持って行った予約確認書は自動配信だったみたいで、予約の再確認が必要だったのです。予約の再確認を怠ったためにピンチに陥ってしまったのですが、そのおかげでロシア人の懐の深さに触れることができました。赤の広場に立って、見ず知らずの私になぜあんなにも親切にしてくれたのだろう、と考えたら思わず涙が出ました。

 

 

mikonacolon