人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

毎日のおかずの悩み

何とかせねばと、飽きないレシピを模索中

 昨日予約した本を取りに図書館に行ってきた。その本とは、2冊の料理本で、山脇リコさんの、『今日の晩御飯と明日のお弁当』と『明日から、料理上手』。いったいどうして図書館で借りるのかと不思議に思われるかも知れないが、このところとんと本屋に行く用がないからだ。もちろん、この間もNHKの語学講座のテキストを買いに行ったが、店内を彷徨うことなく、早々に帰ってきた。何しろ家には図書館で借りて来た本たちが私を待っているから、それらを読む時間が惜しくてうろうろなどしてはいられない。それなのに、なぜ、料理本を借りにわざわざ家から近くもない図書館に行くのかと言うと、やむにやまれぬ事情からで、今日常的に食べているおかずにそろそろ飽きがきていたからだった。

 自他ともに認める面倒くさがり屋の私でも、お腹は空くし、毎日同じ物では飽きがくるのは当たり前のことだ。食べるのが面倒になれば一番いいのだが、そうはならず、食べ物なら何でもござれというわけにもいかない。毎度毎度おかずを作るのが面倒だし、大したものを作るわけでもないのに結構時間を食う。なので、最近は2種類くらいの常備菜を3日分程度作って、それを食べ続けている。正直言うと、スーパーに適当なものが売っていればいいのだが、悲しいことにどれも私の口には合わない。お世辞にも、美味しいと言える総菜に当たった試しがない。

 そうとなれば、これはもう自分で何とかするしかない。以前は何か目ぼしい物がないかと、目を皿のようにしてスーパーの中を凝視していたが、今では諦めて通りすぎるだけだ。そんな私に朗報をもたらしたのが、ネットの料理レシピで、今食べているメニューが大根と豚バラの煮物だった。私は今まで知らなかったのだが、どうやら、大根はあらかじめ下茹でするよりも、そのまま油で炒めた方が味シミがいいようなのだ。何たることか、あんなに頑張って、米のとぎ汁で茹でていたのに、無駄な努力だったとは!この不都合な真実を思い知って、一瞬ガ~ンとなったが、いやいや、ここは発想を転換せねばと、「こっちの方がラクでいいじゃん」と思うことにした。それまでのことはすべて水にさらっと流して何も考えないことにする。

 もう一つの常備菜は玉ねぎとピーマンと赤ウインナーの炒めもので、フライパンに油をひいて、適当に切った材料を入れて、そのまま放置する。テレビでドラマを見ている間に出来上がり、ものぐさな私にピッタリなレシピだ。醤油で味付けするが、好みで後からケチャップをかけて混ぜ合わせて食べても、なかなかおいしいことが分かって自画自賛した。ご飯にもよく合うが、最近は柄にもなく、欲が出て、もっと何か別のものを欲しがるようになった。それではと、新聞の料理コラムに出ていた山脇リコさんのことをふと思い出した。それに、『50歳からのご機嫌ひとり旅』という新刊本も出たと新聞の広告で見かけたばかりだった。私の今の状況では、新しいレシピの開発は急を要する最優先課題と言える。毎日食べる物が美味しくなければ、充実した毎日は送れない。

 そう決心して、何かためになるヒントを貰えるのではないかと、密かに淡い期待を抱いて、図書館に急いだ。家から図書館まで歩いて20分程度かかり、この時間はどう考えても、”近い”とは言いにくい。それに何があるというわけでもない地域に図書館という施設は配置されており、目的が唯一そこだけなのだ。なので、借りに行くときはルンルンなのだが、返しに行くときは一転、足がどうにもこうにも重い。そのせいか、途中であれこれ良からぬことを考えた。もしも、借りた料理本が期待外れだったら、きっと私は一日でも早く、いや一時間でも早く返しに行きたいと思うに違いない。だが、すでに借りている本はまだ途中だし、向こう1週間は行く予定はなかった。

 それで、私は念のために保険を掛けることにした。要するに、いつものようにすぐに家に持ち帰ることはせず、図書館内で試し読みすることにしたのだ。普通、図書館には閲覧室というものがあって、館内の本を自由に読めるようになっている。でも、ここではずらっと立ち並んでいる本棚の反対側にテーブルと椅子が置かれていて、大勢の人が勉強やら,調べものやらを熱心にしている光景に遭遇した。どうやら私が座る席はないようだったが、本棚の脇には小さな椅子があったので、そこで借りたばかりの料理本をペラペラと捲った。この時の私は、自分にとって有益な情報が得られなければ、持ち帰らずすぐに返却するつもりだった。おそらく夢でも見ていたのか、何か勘違いをしていたのか、何のことはない、本に書かれていたことは真っ当で正しいことだった。簡単に作れて、美味しいレシピは見当たらなかった。無理もない、わがままで、好き嫌いが激しい私が満足できるようなおかずはどこを探してもなかった。気を取り直し、本を返却口に入れ、逃げるように図書館を後にした。

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