人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

あなたの”時間泥棒”はどこにいる?

また、思い込みで行動したと、反省するが

 先日の日曜に新聞を見ていたら、目に飛び込んできたのは”あなたの時間泥棒はどこにいる?というフレーズだった。「時間泥棒」という単語に久々に好奇心が揺り動かされた私は、とっさにその新刊の広告を切り抜いた。その本の題名は『自分時間を生きる』で、すぐに図書館のサイトで簡単検索をして、蔵書の有無を確かめた。念のため、著者名で検索すると、ベストセラーになった『直観と倫理をつなぐ思考法』はちゃんとあったが、最新刊であるこの著書はないようだ。となると、どうしても読みたければ書店で買うしかない。どんな感じなのか、自分の目で確かめて、良さそうなら買ってもいいとお金を用意して近所の中規模書店に急いで行った。

 書店に着くと、まずは店に置いてある検索機で書名を打ち込んで探そうとした。だが、何度やっても、検索が始まらない。どうもいつものように文字が上手く打ち込めない。それで、著者名検索を試みるが、なんたることか、名字も名前も読み方がわからない。う~ん、なんとも準備が足りないと言うか、著者名ぐらいちゃんと調べて置けよと自分に言いたくなった。図書館のサイトは漢字でOKだから問題はないが、本屋の検索機はカタカナだから、著者名はちゃんと調べておく必要がある。もっとも、この店は普段からあまり品揃えがよくないので、無かったとしてもそれはそれでいいのだが。

 店の啓発本のコーナーにあるかと探してみるが、それらしきものはない。家に帰ってきて、切り取った広告をよく見てみると、本の帯には「生産性の鬼だった戦略デザイナーが移住の先に見出した、豊かさへシフトするための・・・」と書いてあった。そうなのだ、これはどうやら都会を離れて、心機一転、地方に移住した人の話なのだと、初めて気づいた。私が知りたかった時間泥棒の真の正体について書かれている本ではなかったのだ。「皆が等しく24時間が与えられている、それって本当なのだろうか」などといった、問いかけに対する答えが欲しかったにすぎない。要するに、私はまたやってしまった。思い違いもいいところだが、誰にも迷惑をかけていないから構わないだろう。またやらかした、程度の勘違いは笑い飛ばしていい、それが本を買う前ならなおさらだ。

 それに、この勘違いのおかげで、久しぶりに本屋を散策した。何だか良さそうで、読みたいと思っていた稲垣みえこさんの『家事か地獄か』を見つけて、思わず手に取った。読んで見ると、大手新聞社を退社して、”カネはないけどヒマだけはたっぷりある”生活になってから、住まいのスリム化を試みたそうだ。まずは便利な家電を全部捨てた。冷蔵庫も洗濯機も炊飯器も、電子レンジもすべて捨てて、さぞかし大変だろうと思いきや、全く問題ないと言うから、目から鱗だ。女一人の暮らしでは洗濯もたらい一つあれば済むらしく、野菜も天日に干したものを常備すれば、冷蔵庫はいらない。それに日に干した野菜は甘味があってとても美味しいからお勧めですよと言われても、それではお言葉に甘えてと、即実行できるものでもない。さらに、稲垣さんのすごいところは、自分の生活スタイルをとことん追求し、節約料理のレシピ本まで出してしまうエネルギッシュな生きざまにある。ピアノを一から始めてみたりして、何にでも挑戦を続ける姿勢も素晴らしい。図書館のサイトでも、稲垣さんの新刊本『家事か地獄か』は人気がありすぎて、私などには手が出ない。

 それから、もう一冊気になる本を見つけた。それは益田ミリさんの『ミチコさんの恋』という漫画で、現在週刊文春に連載中の「沢村さんちの生活」の裏側にあるもう一つの物語だと言う。もちろんビニールが掛かっているので、内容は知る由もないが、テーマは沢村さんちの40歳になるミチコさんと14歳年下の青年との恋で、さてさて、どんな展開になるやら、気にはなるが、手に取って買うところまではいかない。だいたいが、その恋の中身が片思いだったりすると、とたんに、もっと若かったら、積極的になれるのになどというのがステレオタイプで、ドラマのように恋に発展しても、やはり居心地が悪いことには変わりない。そう言えば、昔若い恋人との結婚を皆に反対された中学の先生が、泣く泣く諦めたと涙ながらに語るのを聞いたことがあった。大いに同情したが、その後で、「だって、私の財産をもしかしたら取られちゃうかもしれないでしょう」と呟いたのには興ざめした。

 買う気満々で書店に駆け込んだ私だが、またいつもの勝手な思い込みによる勘違いだった。幸か不幸か、見方によっては書店に本がなくてよかったと言えるかもしれない。こんな勘違いは、ひょっとして、時間泥棒と言えるのだろうか。いやいや、この場合は、言ってみれば、予期せぬ気分転換をする機会を与えられたのだ。

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