人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

書店に旅行のガイドブックがない

まさか、紙は時代遅れなのか!?

 3月に入ったばかりのある日、新聞の連載の4コマ漫画『ウチのげんき予報』を読んでいたら、登場人物のあるセリフが気になった。それは「格安航空券が手に入ったから、久しぶりに旅行するわ」で、”げんき家族”の奥さんが知り合いの女性に言われていた。そして、旅行の時期がなんとゴールデンウイークだと聞いてびっくり、はるか先の話だと思っていたから。それにコロナ禍で旅行なんて考えられなかったからだ。だが知り合いが新しい一歩を踏み出したと聞いて、会社から帰ってきた夫に「うちもそろそろ旅行のことを考えてみない」と相談を持ちかけた。

 私はと言えば、漫画のそのセリフを読んで、そう言えば、自分もどこかしら旅行に行くのだったとハッとなった。パリに行くと決めたのだと思いだした。我ながら、まだまだ先のことだと思っていたのに、知らず知らずに早3月に突入して、こうなると4月は目前で、何か具体的な行動に出ないと実現は難しい。行き先は決まったのに、まだ現実離れした計画でしかないが、そろそろただの思いつきを現実のものに、”もう行かなきゃ済ませられないもの”に変えていく必要がある。そのためにまずやるべきことは行きたい国のガイドブックを買ってきて、できるだけ情報収集することだ。

 最近は新聞に国内旅行のみならず、海外旅行のツアーの広告も載っていて、いよいよコロナ前に戻ったのだなあと実感することが多い。それなら当然都心にある大型書店の旅行関連本のコーナーも元通りに戻っているはずだった。だが、予想に反して国内旅行や海外旅行に関するガイドブックが並んでいた棚はスポットライトが当たらない影の場所に追いやられたままだった。誰からも見放された片隅に追いやられた棚を見て、ガーンと頭を殴られたような衝撃を受けた。コロナ前は人気のあるヨーロッパのイタリアやフランス、ドイツなどの棚はちゃんと独立した棚があって、どれにしたらいいのか迷うほどの品揃えを誇っていたはずだ。それなのに、今では悲しいことにそれらが国別に別れることもなく無造作に詰め込まれていた。

 かろうじてアルク地球の歩き方『パリと近郊の町23’~24´』はあったが、私が行こうとしているイギリスのガイドブックはなかった。その時は頭になかったが、後からよく考えてみると『ロンドン』のタイトルが付いた本を探すべきだった。そもそもロンドンに行く目的は大英博物館なのだから。おそらく大英博物館は何日通っても退屈はしないだろうが、ロンドンは恐ろしく物価が高い所だと噂に聞いているので、宿泊は3~4泊程度にする予定だ。だが、現実問題として、ガイドブックを手に入れることが先決で、そうしない限りは何も始まらない。

 大型書店に無いので、家から歩いて30分のところにある中規模書店に行って見ることにした。こちらはつい最近まで海外旅行関連本の棚が撤去されていたが、やっと以前のような光景が戻りつつあった。大型書店と比較すると、ほぼすべてのアルク地球の歩き方シリーズが揃っていて、なんだ嬉しくなった。早速『ロンドン』を探すのだが、何たることか、ちょうど『イギリス』と『ロンドン』だけ売り切れていた。

 旅のガイドブックがなかなか手に入らない?なんてことは今までは考えられなかったことだ。こうやって嘆いていても、仕方がないので他の書店に探しに行くとするか。意外と”灯台下暗し”で、近所にある”いつも使えない”と馬鹿にしている小さな書店にあるかもしれないのだから。ここまで書いてきて、ふと思ったのだが、世の中の流れとしてもう紙の本に頼るやり方は古いのだろうか。ガイドブックなどなくてもネットさえあれば、十分旅の計画も楽々できるものなのだろうか。私にとっては必須のガイドブックから得られる情報と街の地図なしには私は旅を無事に終えることはできないと思うし、それどころか、安心して一歩を踏み出すこともできない。もちろんネットも大いに利用して情報収集に努めるが、それはあくまで情報の補充としての存在であって、それに完全に頼り切ると言うことではない。

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