今週のお題「叫びたい!」
▲ボリビアのラパスは標高約3600mにある世界有数の高原都市。NHKまいにちスペイン語テキストから。
最近、なんだか無性におしゃれがしたくなってきた
考えてみると、コロナが流行り出してから、全く化粧をしなくなりました。朝起きて、鏡を見ながら顔につけるのは乳液と化粧水のみで、あとの下地とかファンデーションは邪魔なので片付けてしまいました。口紅に至っては、もうどこかにいってしまって、化石になっていても不思議はありません。こんな惨状になったのはすべてマスクのせいで、どうせ隠れるのだから「する必要なくない?」という考えからでした。といっても私のようにサボっている人ばかりじゃないのですが、周りにそんな真面目な人がいないので実感が湧かないだけなのです。普段から素顔に自信がある人は別にして、いざ、「今から写真撮影をするのでマスクを外してください」などと言われたら冷や汗がでます。先日も「ちょっと待って、気持ちの準備ができていないのにねぇ」と友だちが焦りまくった話をしてくれました。
正直言って、私はあまり化粧が好きではありませんが、人前に出るときの身だしなみの一つだと捉えています。家では素顔でいる分、外に出るときにする化粧は気分転換であり、やる気スイッチが入る瞬間でもあるのです。それに服装も重要なアイテムで、家に居る時とは違う服に着替えるという行為は気持ちを一変させてくれます。家に帰ってスーツを脱いで、緩いダボダボのトレーナーに着替える時、仕事モードは終りで、これからは私の時間なのだとリラックスできるのです。それなのに、最近はそんな気分を味合うことは滅多になく、生活にメリハリも何もなくなりました。
先日の朝日歌壇に載っていた短歌に「いつもはスニーカーばかりだからかわいそうだから今日はヒールを履こうかなあ」というのがありました。言えてる!と思わず膝を打ちました。仕事の戦闘服であるスーツやお楽しみのためのおしゃれなワンピースなどの出番が無くなってしまったせいで、しゃれた靴たちは忘れられてしまいました。お払い箱になったのかとさぞかし惨めな思いをしているのだろうとこの短歌の作者はふと思ったのでしょう。私も普段はぺったんこの靴ばかり履くのですが、それにヒールの靴は敬遠していたのですが、なんだかヒールの靴が履きたくなりました。少し緊張して、背筋が伸びるような、あの独特な気分を味わってみるのもいいかなあとさえ思えてきたのです。
そして、ヒールのしゃれた靴に似合うのは仕立てのいい服で、ショーウインドウに飾られている、どう見てもよさそうな服なのです。どうやら私はおしゃれに飢えているようなのです。以前はよくデパートや地下のショッピングモールのショーウィンドウを飽きるほど眺めて、自分がそれを着た姿を想像して満足していました。でも、もうずいぶんそんな楽しいことをしていないし、その場に出かけることもなくなりました。現実問題として、おしゃれして出かけること自体、躊躇してしまうのです。心にブレーキが掛かってしまって、どうしようもないのですが、どうやら本音は「おしゃれして出かけたい」のです。以前はどうでもいいことが、ダメだと言われると、なぜかやたらとやりたくなる、そんな複雑な気持ちです。
韓国ドラマ「愛するウンドン」のヒロインは長い間身体ました。でも今を時めく有名俳優のゴーストライターとなって、彼と話をするうちに彼女の中にある変化が起こったのです。自分だって少しくらいは儚い夢くらい見たっていいのではと思うようになりました。契約金を貰った彼女はまず美容院に行って伸びっぱなしになっていた髪を切りました。綺麗にメイクをして貰って、次は見るからに高そうな店で洋服をあれこれ試着して買いました。いつもシャツとジーンズしか着たことがなかった彼女はなんだか生まれ変わったような気分になりました。
最高におしゃれをして、浮き浮きした気分で俳優と待ち合わせのレストランに行きました。家に帰ると、夫に「こんな贅沢をして、お前は正気か!くだらない!」と激怒されました。でも彼女は夫に堂々と言い放ったのです、「貴方には贅沢でも、私にとっては必要なことなの!」と。つまり、彼女にとっておしゃれとは心をパアッと明るくしてくれるものなのでした。沈み切っていた心に火をつけてくれたのです。
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