人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

旅行に常備薬は必須

解熱薬を買いに行ったら、質問攻めにあう

 来月行くことになっている旅行がだんだん迫ってきて、なんだか落ち着かない。基本的にはパスポートとお金だけあれば、OKのはずなのだが、実際にはそうもいかないのである。何かの記事で読んだことがあるが、俳優の森田剛さんは飛行機に乗るときの手荷物はコンビニのレジ袋ひとつだったそうだ。すでに荷物を預けているわけではなく、海外に行くときでさえも荷物は持って行かない主義のようだ。理想から言えば本来は全くその通りなのだが、そんなに潔くできないのが人間だ。

 そうなると、あれも要る、これも絶対に必要とリユックサックに詰め込もうとするが、悲しいかな、全部は入れられない。それでいつも、荷物の引き算を迫られることになる。だが、その際にどうしても引き算できないのが、常備薬だと今ではつくづく思う。実を言うと、コロナ禍の直前に行った旅行で体調を崩して以来、私は薬の有難みを思い知った。そのため、とりあえず、お守りのつもりで、あれもこれも持って行こうとリュックに詰めて安心するのだ。

 元はと言えば、私が持って行く常備薬は、マキロンと目薬とかゆみ止めぐらいで、滅多に風邪もひかないので他の薬は眼中になかった。それでも、念には念を入れて、パブロン微粒を何包が持って行くくらいだったが、いつも使わずじまいだった。だが、コロナ前の最後の旅行で、明らかに腐っていると思われるスパゲティを食べさせられて、一晩中バスルームで過ごすような目に遭った。実はもう匂いでこれはおかしいと察知していたにも関わらず、口を付けないと悪いなどと余計な気を使って、我慢して半分ほど食べてしまったのがいけなかった。激しい下痢と嘔吐に襲われたが、幸運にも、朝方には落ち着いてきた。「私はやっぱり運がいい」とこの時も思わない訳にはいかなかった。

 それがモロッコでのことで、と書くと甚だ誤解を招くかもしれないが、要は、出された料理が自分の口に合わないと思ったら、絶対に我慢して食べてはいけないと言うことなのだ。もしも、店の人に不審な目を向けられた時には、堂々と「悪いけど、私の口には合わなかったので、御免なさい」と言っておけばいいだけだ。どうにかこうにかフェリーに乗って、スペインに戻ってきてすぐに、街の薬局で下痢止めを買った。薬剤師の言うとおりに飲んだら、たちまち下痢の症状は消えたが、今度は胃が痛くて堪らなくなった。要するに、これが、ガイドブックに書いてある「外国の薬は強すぎて日本人にはあわない」という記述をつぶさに証明していた。

 なので、私は去年の旅行でも、保険をかけるつもりで下痢止めを持って行った。もちろん使う機会はなかったが、パリの予想外の寒さに震えあがり、滅多にひかない風邪をひいてしまった。その際役立ったのが、あくまでも普段は予防薬として飲むパブロン微粒で、大事には至らずいつのまにか体調は回復した。「持って来てよかった!」を痛感した出来事だった。”備えあれば、憂いなし”である。

 さて、去年もそうだが、今回も持って行くべき必須の薬は熱さましである。去年持っていったロキソニンが使用期限が間もなく切れるので、新しい薬を薬局に買いに行った。最近利用するドラッグストアを変えたばかりなので、解熱剤と言ってもどれを買えばいいのかわからない。馴染みがあるバァファリンでもよかったのだが、できれば解熱剤がいいと考えた私は、ロキソプロフェンと書かれた箱をレジにもって行った。すると、レジの店員に薬剤師を呼ぶので、少々お待ちくださいと言われた。最近は風邪薬や鎮痛剤の乱用が問題になっているので、必ず薬剤師のちょっとした質問に答えなければならない。面倒だが、それくらいで済むならと待っていると、なんといつもの質問ではなく、さらにいろいろなことを聞かれた。特に今回初めて利用すると言ったものだから、署名まで必要になったのである。薬剤師がポケットからスマホを取り出し、「画面にある”理解した”という項目をタップしてください」と私を促がす。何が何やら訳がわからないが、言われるままにスマホの画面に触れると無事終了した。なぜこんなにも手間がかかるかというと、ロキソプロフェンが第一類医薬品だからで、いつも買っているパブロン微粒は第二医薬品だった。

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