人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

NHKドラマ「アンという名の少女」

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最終回もハラハラドキドキで

 毎週どうなることかと楽しみに見ていたドラマ「アンという名の少女」がとうとう終わってしまった。欲を言えばもっと見たかったというのが正直な感想です。なぜかと言うと、美しい村でののどかな物語を期待していたのにいい意味で予想を裏切られたからです。もう詳しいあらすじは覚えていないのですが、このドラマのように辛口ではなかったはずです。最初はアンをおしゃべりで、妄想癖がひどい変な女の子だとしか思えませんでした。考えてみると、あんなに次から次へと言葉が溢れるように出てくるのですからただ者ではありません。妄想癖も過去に読んだ物語が頭の中にいっぱい詰まっているからで、過酷な現実を忘れたいときはいつでもその世界に行けてしまうのです。アンは決して夢を忘れない、いいえ、大人からするとその現実逃避の策が生きていくうえで必要だったのです。読んだ本が人を救うだなんて、考えたこともありませんでした。

アンのストーリーテラーの才能はどこから

 信じられないことに、読んだ物語はすべて覚えているらしく、お話を作るのは朝飯前のようです。ある日学校で友達になったリリーと親友のサブリナとでお話クラブを作りました。そして1日に一つは物語を作って見せあいっこをして楽しむのはどうと提案するのです。でもアンのような読書好きでもない、普通の女の子のリリーは頭を抱えてしまうのです。当然です、誰もが頭の中に物語の王女が住んでいるわけではないからです。

 アンはすでにストーリーテラーの才能があるわけで、楽しんでやっているからこそ素晴らしいのです。思えば、現在活躍している作家の中にも子供のころからお話を作るのが大好きだったという方がいます。「好きを仕事にできればどんなにいいか」と誰もが思いますが、その夢を実現できるのはほんの一握りの人たちだけです。その中のひとりでもある作家の吉本ばななさんのエッセイを読んで発見したことがあります。それは夢に向かって努力するのも才能のうちなのかもということです。吉本さんは子供の頃にもう「作家になって食べて行こう」と決意したと言うのですから驚きです。その理由は身体が弱いとか学校になじめないとのことで自分の将来を想像してしまったからです。それまで吉本隆明の娘なのだから才能があるのは当然としか思っていませんでした。でも才能を受け継いだであろう人が必死になって努力していたことがわかってもうびっくりです。

忘れたはずの友情は続いていた?

 ドラマに話を戻すと、作物を積んでいた船が沈んでしまったせいで養父マシューが経済的に困窮に陥ってしまいます。その時アンはマシューに作ってもらったドレスを返しに行ってお金に換えようとするのです。町にある洋服店の女主人はどうやらマシューの知り合いで二人の間には淡い恋心も芽生えていたようです。詳しいことはドラマでは描かれていませんが、何十年ぶりかでマシューに再会した彼女の嬉しそうな顔がすべてを語っていました。はるか昔学校で一緒だった頃がとても懐かしいらしいのです。途切れてしまった縁が蘇ったような瞬間で、もしかしたら今でも想いは変わらないのではと錯覚してしまいました。

 その女主人がアンの心中をすぐに察して、店にあったお金をすべて差し出してしまうのです。マシューが病気で倒れたと聞いて堪らずの行動で、お見舞いに飛んで来てくれる、その気持ちがとても嬉しいではないですか。辛口なストーリーの中にも貴重な友情物語も織り込んだこのドラマは見てよかったと思える作品のひとつです。

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