人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

二度と会うことがない人達に感謝

今週のお題「感謝したいこと」

f:id:mikonacolon:20201126132023j:plain

怖い所だとばかり思ったら

 私が感謝したいのは、名前も知らない、もう二度と会うことはない人達です。これまで海外旅行に行って何とか無事に帰ってこられたのは彼らのおかげなのですから。

 初めて行った外国はイタリアのローマでした。空港から列車に乗り換えてローマのテルミネ駅に着きました。駅から出て予約しておいたホテルに自力で向かおうとすると、大勢のタクシー運転手に囲まれてしまいました。ふと見ると、「welcome」と書いた大きなボードを掲げている人たちがあちらこちらに見えました。どうやら他の人達は皆迎えのタクシーを予約しているようで、自然と私たちは彼らの標的になってしまいました。「タクシー、タクシー」と呼びかけられて、彼らの熱狂的な声に圧倒されて恐怖さえ感じました。「とにかく、逃げるしかない」と思い、友だちの手を取り速足で駅の出口へと向かいます。それでも彼らは諦めないので、必死で走って外に出たら、やっとホッとできました。まさかこんな経験をするなんて!異邦人がローマの洗礼を受けるとは思ってもみませんでした。

後ろから救世主が現れて

 街の中を歩いていたら、突然誰かの怒鳴り声が聞こえてきました。どうやら言い争っているようで、「もしかしたら、ここは怖い所なのかも」と心配になってきました。その時は日本の家族に電話をしようと思っていたのです。当時は街のどこにでも公衆電話が設置されていました。テレホンカードを入れようとするのですが、入らない、何度やってもうまくいきません。すると、後ろから髭を生やした一人の男性が現れて、いとも簡単にカードを入れてくれたのです。それには声も出ず、あっけに取られて、お礼を言うのを忘れていました。その人はすぐに足早に立ち去ってしまい、その後は会うこともありません。だからこそ「あの時は本当に助かりました、ありがとう」と言いたいのです。相手から求められないのに、親切にしてくれる人はなかなかいないのです。

親切なあなたはいったい何者?

 初めてイタリアでユーロスターに乗ったときは戸惑いました。あの時はインターネットで切符を買えるような時代ではなかったので、地球の歩き方に載っていた旅行会社ですべて手配してもらいました。当日は自分の座席の車両番号は何とかわかったのですが、座席が見つけられません。それでも何とか自分の番号があったので座ろうとすると、もうすでに一人の男性が座っているのです。何度もチケットの車両番号を確認するのですが、やはり間違いないようです。でもあの男性はあんなに堂々と座っているのですから、どうしたらいいのかわかりません。

 車両のドア付近で困っていたら、ひとりの若い男性が声をかけてきました。その人は他の人にも何かと声をかけて教えてあげているようですが、鉄道会社の人ではないようです。私がチケットを見せると、なんと座席まで案内してくれたのです。そこには先ほどの紳士が座っていましたが、この席に間違いないと言うのです。躊躇していると、「さあ、自分の席なのだから言わなきゃ」と促すのです。それで、チケットを見せながら「すみませんが・・・」と言ったら、すぐにどいてくれたのです。

 もしもあの時あなたがいなければ、私はきっと車掌さんが通りかかるまで席には座れなかったでしょう。何しろ自分の席には先客がいるのですから。あなたのおかげで私の不安は解消されて、楽しい旅ができました。だからあなたには感謝しかありません。それにしても気になるのは、今でも不思議なのですが、あなたはいったい何者なのですか?

mikonacolon