
すべて振り出しに戻ってがっかり
昨日、新しく見つけた歯医者に本歯の型どりをして貰いに行った。上手く行けば、あと2回通えば、左下の奥歯は完成するはずだった。ところが、診察室に入って、開口一番に、「念のためレントゲンを撮りましょう」と先生から言われた。もしも、根っこに膿が溜まっていたら、本歯を作っても意味がないとのこと。先生の懸念は現実になった。なんと私の左下の奥歯の歯茎の根っこは黒くなっていた。つまり、膿が溜まっているのは明らかで、まずは根っこの治療から始めることになった。なあ~んだ、そうなのかと落胆したが、現実を受け入れるしかない。ここのレントゲンは前の歯医者と違って、機械が素晴らしい。口の中に入れたチップを外して機械に入れると、たちまちレントゲンの映像がモニターに映し出される。映像も鮮明なので、患者にとっては先生の説明がわかりやすい。
そうなると、まずは仮歯を外し、中にある金属の芯棒を取らなければならない。芯棒がない歯は折れやすいので、歯を守るために入れてあるのだ。仮歯はすぐに外れたが、芯棒をはずすのには時間がかかった。いやはや長かった、でも時間にすると、10分くらいのものだが、気が遠くなるほど長かった。何とかすべて取り除くことができてホッとする。後は、先生に薬を入れて貰って、その日の治療は終わった。診察室を出ると、待合室には若い男性がひとり待っていた。「○○さん。どうぞ」と先生が声をかける。「詰めたところが取れちゃったのですね」とかと言う話声が中から聞こえてくる。そうなのか、いくら予約制とは言え、緊急事態には対処してくれるのだとわかる。それならこの先安心だ。
奥歯の本歯をすぐに作ってもらえなかったのは残念だが、よくよく考えると、疑問がどっと湧いてきた。そもそも、あの左下の奥歯は足が悪くならなければ、1月17日に入っていたのだ。となると、私が歯医者に行こうか行くまいか迷っている間に、歯茎に膿が溜まってしまったのか。いや、どう考えてもそんなはずはない。膿が溜まるのには相当に長い年月が必要だ。たった4,5カ月でどうなるものでもない。そう考えると、すでに本歯を型どりした時点で、もう膿は溜まっていたとしか考えられない。それにしても、傲慢とは言え腕のいい先生が、レントゲンを撮って確認することを怠ったのか、理解に苦しむ。あのまま本歯を入れていたら、元の木阿弥だった。
以前の歯医者では、レントゲンを撮ってもすぐその場で確認することはなかった。いつも治療の最後にレントゲンを撮って、結果は次回まで分からずじまいだった。実を言うと、前の歯医者の先生は歯科医院の経営者ではなく、いわゆる雇われ医者だった。それが分かったのは水曜日は大学の偉い先生が診察することになっていたからで、しかもいつもの先生より腕が悪かった。近所の人がそう噂していたから、間違いはなかった。なので、20年もお世話になっていながら、先生の名前さえ知らないのだ!先生の話から、水曜日は大学で学生に実技指導をしていて、それが物凄く疲れるのだそうだ。その日は電車で家に帰る気がしないので、タクシーを使うのだと嘆いていた。それくらい腕がいいのに、雇われ医者だなんて、さぞかしプライドが傷ついていただろうと察して余りある。
近所の人の話では、あそこの歯科医院は以前に別の人がやっていたが、その人が諸事情のため、東北かどこかの田舎に帰ってしまった。それで、歯科医院を丸ごと引き継いだのが今の経営者で、当時の設備をそのまま使っていた。それ以来全く変えていないので、新しい歯科医院にかかった私が驚いたのも無理はなかったのだ。
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