人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

やっぱり恋しいパリ

今週のお題「行きたい国・行った国」

偶然見たテレビ番組で心動かされて

 私が今行きたい国はフランスで、それもパリ、そして、それは願望なんかではなくて、おそらくかなりの確率で実行に移す可能性が高い。昨日、ちょっと今どうなっているか見てみるか、みたいな軽いノリでフィンランド航空のサイトを開いた。もちろん乗り継ぎでパリに行くのだが、フライトスケジュールがどんなものか見てみたかった。実はそれまでは行きたい国と場所は私の頭の中ではただぼんやりとしていた。コロナ禍の3年間もの間に海外旅行は夢のまた夢のようなものになった。タイムマシンのような航空機に乗って遠くへ行く、そんなことはもはやいくら望んだとしても不可能なことに思われた。行きたい気持ちを封印し、できるだけ目をそらし、気をそらして、考えないように努めた。それなのに、最近では旅とグルメを特集する番組が増えていて、嫌でも”海外”を意識させられてしまう。なんだかこちらが指をくわえて見ている様な気にさせられて、実に居心地が悪い。

 そんなある日、テレビを付けたら偶然、弾丸トラベラーの人の話をやっていた。その男性は自分の体験を本にして出版したら大いに売れて有名になったそうだ。彼の旅はすべて週末を利用し、基本的に1泊4日の強行日程で、費用は約40万円だ。彼の目的はできるだけ多くの場所に行くことで、それこそ寝る間も惜しんで精力的に各地を巡る。番組のレポーターが彼と行動を共にしていたが、最後の方では疲れたのか居眠りをしていた。それなのに、彼はへっちゃらで、もうこのタイプの旅に慣れてしまっているようだ。彼のような旅の仕方は私には青天の霹靂でしかないが、おかげである事実を知ることができた。

 それは彼がフィンランド航空を利用していて、ヘルシンキのヴァンター空港までは14時間かかるという情報だった。私もコロナ前はよくフィンランド航空に乗って各地に旅行していた。確かあの頃は9時間で行けたと思うが、現在はロシア上空を飛べないのでルートを変更しているせいで時間がかかるらしい。ええ~!?そうなのか、と思ったら、それでは終わらず、ふつふつと興味が湧いてきた。なんだかむずむずとするので、冒頭に書いたように「ちょっと、検索でもして見ようか」となった。

 サイトを見てみると、以前は午前11時頃出発だったのが、夜遅くの便に変更になっていた。当時はヨーロッパまで最短最速で行けるのがフィンランド航空の売りで、パリにもその日のうちに着けていた。だが今のスケジュールで行くとそれは不可能で、ヘルシンキまで13時間もかかる。それに乗り継ぎ時間は2時間30分で以前の30分とは比べ物にならない。それでも、そんな贅沢を言わなければ、翌日の昼にはちゃんとパリに着けるのだ。フライトスケジュールを見てしまった私はもう行く気満々で、誰も行く手を遮ることはできない。

 なぜパリなのかと言うと、それは子供の頃からの憧れで、その憧れがフランス語を勉強するのを後押した。初めてパリに行った時は見る物聞くものすべてが物珍しく新鮮だった。ルーブルやオルセーと同様にスーパーマーケットでさえも興味津々で楽しくて仕かたなかった。そのうち、パリは何でも高くて、たいして美味しい物もないという不都合な現実に出くわしても、私のパリへの情熱は冷めなかった。食べ物なんてどうでもよかった。街全体が美術館で、退屈などとは無縁な環境が何物にも代えがたい唯一無二の場所だった。美術館を見学していると、暫し時を忘れて、自分が今どこに居るのかわからなくなることがある。日常の些細なことが気にならなくなり、日本に置いてきた難題がどうでもよくなる。それってある種の気分転換なのだろうか。だとすればずいぶん高くついたものだ。

 とりあえずパリに行くと決めたものの、今はまだ何もする気はない。寒い今の季節は思いを胸に溜め込んで、春になったらそろそろ具体的なことを考えようかと思っている。今度はできるだけ長くパリに居たい。以前のようにパリのモンパルナス駅からTGVに乗って、サンセバスティアンにも行きたい。美味しいピンチョスとビールでパリでの気疲れを癒したいのだ。

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