人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

老後は田舎で暮らしたい

今週のお題「住みたい場所」

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ひとりなら、故郷で暮らしたくなるのでは

 若い頃、都会で暮らしていた私は自分の老後のことなど考えたこともありませんでした。自分の目の前にある世界に熱中していて、そんな未来のことなど眼中になかったのですから当たり前のことでした。その頃の私には田舎で暮らすという選択肢はありませんでした。でも、心のどこかには何かあったら、親に頼ればいいのだからという気持ちは常にあったのです。実際にお金が足りなくて困ったときには親に泣きついて何とかしてもらいました。たとえ失敗しても、散々な目に合っても、逃げ込む場所は用意されていました。つまり田舎の家に帰ればいいのだという安心感というか、保険があるような気持ちは常に持っていたのです。親は簡単には死なないと思っていたので、亡くなったときは衝撃を受けました。でも人間はいざとなると諦めるという特技を持っているので、親がいなくなっても生きていけるのでした。しばらくすると、周りの友達は何かと事情ができて、田舎に帰って行きました。都会での生活に疲れてしまったとか、あるいは親が病気になって呼び戻されたとかで、あっけなく去ってしまうのでした。

 さて、現代の若者を見てみると、昔みたいにそんなに簡単には田舎には帰らないみたいです。ある意味「凄いなあ、頑張っているなあ」と私などは感心してしまいます。東北に住む親戚の70歳の男性には4人の子供がいて、長男と長女は同居しています。後の二人の次男は東京に、次女は盛岡にいてそれぞれ働いています。男性の心配事は子供が4人いても誰一人結婚しないことで、「うちの子たちはもしかしたらかたわなのかもしれない」などと嘆いています。4人とも自由にさせているのに、異性に興味を示さなしていていなんて、どう考えてもおかしいとしか考えられないのです。長男は何と言っても後継ぎなので、早く結婚して欲しいと期待しています。男性の妻もお見合いの話を長男に勧めるのですが、こればかりは相性というものがあるのでなかなかうまく行きません。以前35歳を過ぎている長男に単刀直入に「結婚したくないの?」と聞いてみたら、「できることなら結婚したい!」。これには正直言って驚かされました。ゲームが好きで会社から帰って来ると用がない限り部屋から出てこない長男。自分の生活にそれなりに満足しているのだとばかり思っていたからです。

 隣に住む別家の叔母によると、「今この地区に嫁に来るのは外国人、それも中国人が多い」そうで、日本人は誰も来ないのでした。彼女たちにとっては結婚は出稼ぎ感覚で、一生懸命働いて国に仕送りします。そのために日本に嫁に来たのでした。一番問題なのは、ある程度お金が貯まると彼女たちが「バイバイ」と言ってさっさと国に帰ってしまうことです。子供がいたとしても根なし草のようにいなくなってしまうのです。もちろん自分の子供は連れて帰るので、後継ぎがいなくてその家は困ってしまいます。そんな状況を知ってか知らずか、長女はアルバイトをしながら猫と暮らしています。不思議な話ですが、彼女は親から「早く嫁に行け!」とは一度も言われたことはないのです。まずは長男の結婚が優先で、娘は側に置いておきたい親心のせいなのは明らかです。

 次男は東京で旅行の添乗員として働いているらしく、ある日男性が電話をした時に明るい声でこう言っていました。「俺は旅行が好きだからこの仕事は性に合っている。毎日が楽しいよ」。次女は男性に言わせると、「あの子はしっかりしているから、大丈夫、心配いらない」そうで、自慢の娘なのです。それに長女と仲が良くアパートに遊びに行ってふたりで楽しく過ごしているようです。まあ今のままでいいかとそんな風に思って諦めていました。でも、最近大きな変化が起こりました。以前から気になっていた築50年以上経ったあばら家が悲鳴をあげたのでした。廊下はすでに床がゆらゆらして底が抜けそうでした。それでも知らんぷりを決め込んでいたのですが、ついに台所の床もダメになりました。それで思い切って家を新築することにしたのです。仮住まいの家は昔は繁盛したのに今は空き家となっている食堂を借りました。12月には家が完成する予定です。

 家が新しくなったら、何かいいことが起きるかもしれないと男性は思うのです。もしかしたら、新しい家に惹かれて長男に嫁が来るかもしれません。そうでなくても、今はバラバラになって暮らしている子供たちがいつでも帰って来られる家ができるのですから。それに長男がこのままひとりだったら,兄弟姉妹4人で仲良く暮らせばいい、老後はここでみんなで暮らせばいいではないかと頭の中を妄想が駆け巡ります。考えてみると、世界には兄弟が年を取っても仲良く暮らしている物語がたくさんあるのに、日本にはないのが不思議でしかたありません。

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