人生は旅

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3千円の使いかた

今週のお題「読書の秋」

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▲原田ひ香さんの小説「3千円の使いかた」。今度始まる天海祐希さん主演のドラマ「老後の資金が足りません」の著者板谷美雨さんの帯の文句に背中を押されて買ってしまいました。

3千円、いいえ、お金の使いかたで人生が決まる?

 先日、近所の書店にNHKの語学講座のテキストを買いに行って、何か目ぼしい本はないかなあとウロウロしていました。そしたら、この「3千円の使いかた」が私に誘いかけてきたのです。それで、まあ、いいか3千円の有意義な使いかたでも教えてもらえるなら、程度の軽い気持ちで一緒に買って帰ったのでした。試しに読んでみると、3千円の狭い世界ではなくて、その向こうの遥か広い世界、つまり人生のことにまで言及していたのでした。

 この小説にはある一家の次女、長女、母親、祖母と4人の女性たちが登場し、それぞれ様々な難題を抱えながらも懸命に生きています。冒頭の一話では20代前半の美帆が憧れのひとり暮らしを始めるのですが、お金のことで悩み始めます。それと同時に街を歩いていて、保護施設で犬の姿を見ていたら、小さい頃から犬を飼いたかったことを思いだしました。それには今住んでいる賃貸ではダメで、庭のあるような家でなければと思い始めたのです。それで、驚くべきことに、お金を貯めて庭付きの家を買おうと決心するのです。犬のために、それだけのためにそんなに熱くなれるものなのか、疑問にも思ったのですが、とにかく彼女は決めたのです。

 早速、美帆は結婚して小さな子供のいる姉真帆のところに相談しに行きます。真帆は元証券会社の社員でお金のことには詳しいので、お金を貯めるコツを教えてもらおうと思ったのです。そこで彼女は美帆に二つの提案をします。一つ目は固定費を抑えること、つまり今の高い家賃のマンションからもっと安い物件に移ることでした。できれば、実家により近い所に引越せば、生活費がさらに浮くのだと助言することも忘れませんでした。二つ目の提案は今からすぐに一日100円を貯めるのを習慣にすることでした。最初から大きな目標を掲げるのではなくて、ほんのちっぽけなことから始めた方が長続きすると言いたいのでした。

 そして真帆は最後にこう付け加えました、「1か月したら、またおいで。その先のことを教えてあげるから」。どうやら、彼女は自分の経験から、3千円溜まれば投資信託が買えるのだと内心目論んでいるようでした。3千円といえども、夢を見られる、つまり増やす喜びが得られるのだと美帆に言いたいのですが、今の妹には到底理解できないことは承知なのです。一方の美帆は姉にアドバイスされて、今まで習慣だった飲み物を買うことをやめて、エコボトルを使えば何とかなるなど工夫することを考え始めました。姉に相談もしたし、セミナーにも行って専門家の話も聞いたら、なんだか希望が湧いてきました。

 ところが、そんな美帆に予期せぬ災難が降りかかってきたのです。それはこの人なら結婚してもいいかなあと思っている男性に550万円もの借金がある事が発覚したことです。それは当の彼も全く寝耳に水の話で、なんでも親が勝手に借りた奨学金で返済が滞っていると知らされました。何と彼の親は全く返済をしていなくて、彼に何とかするように言ってきたのでした。美帆はこの状況をどう捉えていいかわからず、どうしたらいいのかわからず、家族に相談するより術がありませんでした。

 美帆の家族は明らかに550万円の借金は彼女たち二人の将来の障害となるに違いないと判断しました。それで、こんな方法が正しいのかどうかは疑問に思うのだがと言いながらも、借金を肩代わりすることにしたのです。つまり若い二人が毎年払っていけば、総額750万にもなる金額を今一括で返済すれば550万で済むのです。希望に燃えている美帆の憂鬱を少しでも取り除いてやりたいと、なけなしのお金をかき集めたのでした。しかし、まだ結婚していないとはいえ、この先彼氏の実家と付き合うとなるとさらに一波乱ありそうな雲行きです。こうなると、まさに結婚は二人だけの問題ではなくなるのです。

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