人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

話のネタに困ったら

実は、自分の身の回りにごろごろ転がっている!

 新聞にはたいてい人生相談のコーナーがある。ついこの間も日経新聞の『なやみのどびら』に「英会話レッスンで話すネタがない」という相談が寄せられた。う~ん、この悩みは実によくわかる。このブログにしたって、今日のネタは何にしようかと頭を悩ませることがしばしばある。いや、何もネタがないというわけではなく、ネタはあるし、いくつか頭の中に浮かぶことは浮かぶのだが、果たして上手く書けるだろうか、などという先行きどうなる?みたいな不安に取りつかれて悩んでしまう。まったく時間の無駄としか言いようのないことを繰り返している。要するに、書き始めてしまえばいいものを、その勇気がでない、文章に勢いをつけられるかどうか、自信がないのだ。だが、このネタなら朝飯前と軽い気持ちで書き始めたら、どうしたことか後が続かないことがある。その一方で、このネタで大丈夫かなあと、不安でいっぱいで書き始めたら、書いている最中からどんどんネタを膨らませることができて、自分でもびっくりということもある。

 まあ、自分のことはどうでもいい。さて、英会話レッスンで話すネタにお困りの相談者は50代のパートの女性で、回答者は俳優の美村里江さんだった。美村さんは「ネタ確保」の難しさに共感しながらも、意外に簡単に解決できると書いていた。私はドラマに出ている俳優の美村さんしか知らなかったが、実は15年以上もあちらこちらのメディアでエッセイを執筆していたらしい。その経験から、「5年くらい前から『あること』に気づいて以来、悩むことはほぼなくなった」と頼もしいことを言ってくださる。いったい全体、その「あること」とはなんなのだろう、とこちらは興味津々にならざるを得ない。だが、それはなんと、「ごくありふれた普通のことこそがネタになるんですよ」とのことで、まさか、そんなつまらないことが、本当に!?と首を傾げずにはいられない。さらに、自分の失敗談かなんかのような、「規模は小さくても、本当の体験や実感の方が、読者の反応も良くいいネタになります」と言い切っている。

 「ネタが弱いかなあ、と心配していたエッセイへの反応が大きく、驚いた経験が何度もあります」との記述に、大いに困惑した。たぶん、私の中では、それは美村さんが有名人だから受けるのであって、それが普通の人だったら、見向きもされないのではないかとも思える。ただ、よく考えてみると、世の中の読者全員を対象に美村さんはエッセイを書くのであって、相談者は英会話の先生のためにネタを探せばいいのだ。となると、美村さんのアドバイスは十分的を射ていると思う。何の変哲もない自分の日常の事であっても、他人、ここでは外国人の先生かもしれないが、興味を惹かれることがあるに違いない。こんなことでいいのだろうか、と思えるようなことが他人には面白いことかもしれないのだ。人間は他人のことに無関心に見えて、実は少なからず興味津々になることもある生き物だから。それを証拠に、見ず知らずの赤の他人の使い終わった手帳を集めて、それを売るのを商売にしている人がいるのだ。どう考えても、信じられないことだが、他人の手帳を見ることは、その人の生活をのぞき見することだ。まるで、刺激的な小説を読むかのようにあれやこれやと想像力をたくましくして、その人の秘密を共有してゆく。

 若い頃、私も相談者と同様に英会話のレッスンに通っていたことがある。その時の私は予習と称して、気になる新聞の記事を選んで、英訳して持って行った。時間にして30分程度のレッスンをできるだけ濃いものにしたかったからだが、今考えると、日常生活の中の何でもない話題でもよかったのかとも思えて来た。ただ、その時の私は、目の前にいる先生が果たして、私個人の生活に興味を持ってくれるかどうかなんて考えもしなかった。昨今はオンライン英会話というのが流行りだそうだが、私はまずは自分の会話力をブラッシュアップしてからでないとやる勇気がない小心者だ。

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