人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

今年から始めてよかったことベスト3

今週のお題「上半期ベスト◯◯」

第一位は英会話、二位はフランス語、三位は納豆

 そもそも、栄えある第一位にランキングした英会話を始めたきっかけは、朝の情報番組で偶然やっていた星占いだった。それは去年の年末の12月28日で、その頃はまだコロナ禍で、目の前は霧に包まれていた。何の目標もなく、ただ毎日のルーティンを繰り返すだけの日々を送っていた私は、「来年のために、今日からできることを探して!」と言うフレーズに雷に打たれたような衝撃を覚えた。特に「来年のために」という部分では、来年?私に果たして来年などというものがあるのだろうか、と半信半疑だった。それくらい、今から考えると、希望のきの字も何もない世界を生きていたのだ。でも、もし私にも希望というものがあるのなら、何かを、何でもいいから生きる助けになるようなことをしようと考えた。誰かのためなんて立派なことでなくていい、自分勝手な、他人から見たら呆れるようなことでも何でもいい、と考えたら、ふと思った。もし許されるなら、今いる場所から遠くへ行きたいと。

 つまり、それまで日常のルーティンをきっちりとこなすことで心の平安をどうにかこうにか維持してきたのに、今度は変化が欲しくなった。コロナ前に行っていたような海外旅行がしたくなった。もっともその頃はコロナがまだこれからどうなるのかなんて誰にもわからなかった。それでも、この先どうなろうとも、海外旅行を目標に定めて、そのために今からできることを探そうとした。海外旅行と言っても、はっきりした行き先なんて決められるはずもない。絶対行くぞと言う強い意思もなければ、どこかに行きたいという熱い思いもないのだから。実はその頃、中国語を勉強していたので、自然と中国に行って見たいと言う願望はあったのだが、残念なことに、中国はゼロコロナ政策を取っていて、当分行けそうもなかった。

 それで、一転、私の視線はヨーロッパに飛んだ。すぐにパリの街が浮かんで、数々の楽しかった思い出が蘇ってきた。だが、3年もの年月がもはや本当にそこに行ったという実感を消し去って、過去のアルバムを見ているかのように錯覚した。それは最後で、もはや二度とそこにはいけないような喪失感を伴っていた。憂鬱な気分に浸っていた私をもうひとりの自分が、「一歩でも、二歩でも前に進まなきゃ」と叱咤激励する。それで、とりあえず、何処に行っても役に立つ英会話を始めよう、となった。

 だが、すぐにはなかなか取り掛かれない。何しろ3年ものブランクがあるので、分からなくて、ひどい目に合うのが嫌だったからだ。もちろん何を頼りに、どの教材で勉強するかはすでに決めてあった。以前から気になっていたNHKのラジオ英会話で、聞いてみるとわかるが、講師の大西泰斗(ひろと)先生が、これまでの先生とは一線を画している。最初聞いた時は「何、この人、変な人!?」と驚き、嘆き、怒りさえ感じてしまった。でも、すぐにそれが誤解だとわかったのは、講座の内容が素晴らしかったからだ。15分なんて、ぼんやりしていたらあっという間に過ぎてしまう、短くてまことに心許ない時間だ。その中にいかにエッセンシャルをたっぷりと詰め込めるか、限りある時間をいかに有効利用できるか、それを実現できていることにいつも感心する。番組の最後では、その日勉強したばかりの重要フレーズを使って、先生とゲストの3人でスモールトークを繰りひろげる。その間、一分もないのだが、その時でさえも機知と工夫に富んだ会話が聞けることが素晴らしい。

 第二位のフランス語は、NHKのまいにちフランス語テキストのグラビアに出ていたフレーズの「やっぱり恋しいパリ」に共感したせいもあるが、やはり行きたくなった。必要に迫られて始めたが、今回は勉強法を変えてみた。最初からテキストに頼るのはやめて、ICレコーダの音源だけを頼りに、ディクテーションをしたり、講師の言葉に真剣に耳を傾けて、何度も聞くようにした。すると、今まで分かったつもりでいたことが、そうでもなくて、本当のところはいかにあやふやだったかを痛感した。フランス語において、新発見、いや、人生において初めて襟を正してまじめに勉強していると言ってもいいくらいだ。おかげで、前よりももっとフランス語が大好きになって毎日が楽しい。

 第三位の納豆は、日経の夕刊に載っている『こころの玉手箱』と言うエッセイに触発されて始めた。著者はある外資系の企業のCEOで外国人で、その人が苦手だった納豆を好きになった話だった。コロナの後遺症でお腹の調子が悪くて苦しんでいたら、何処からか納豆が効くと言う噂を聞いた。自分は長いこと敬遠していたが、4人の子供たちはなぜかおやつに食べるほど納豆が大好きだった。となれば、環境は申し分ないので、今がチャンスとばかりに食べ始めた。最初はそのままだったが、そのうちにたれも掛けて食べるようになり、今では毎日食べるまでになった。もちろん、噂は本当で、今ではすっかりお腹の調子が良くなったと言う。日頃からガスが溜まりやすい体質の私はその人の真似をしてみただけなのだが、幸運にも、現在まで辛い思いはしなくて済んでいる。

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