人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

夏休みの憂鬱  

夏休みは楽しみ?、それとも憂鬱?

 久しぶりにTBSラジオの『宮藤さんに言ってもしようがないんですけど』を聞いた。今回の愚痴は夏休みにまつわる困った事態に関することだった。一口に夏休みといっても、国や人によってそれぞれ意味合いに雲泥の差があるような気がする。外国の夏休みはバカンスという、なんとも響きがいい言葉でひとくくりにされていて、なんだか羨ましい限りだ。私などは、バカンスと言うと何やらリッチな、いやそうでなくても自由な雰囲気に溢れる天国のような時間を思いめぐらせてしまう。

 聞くところによると、外国の夏休みは信じられないほど長く、たとえば、ロシアなどは3カ月もあるそうで、いったい何をして過ごせばいいのだろう、だなんていらぬ心配をしたりした。というのも、私自身、子供の頃は家で過ごす夏休みにうんざりしていたからで、早起きするのは嫌だが、退屈するよりは学校の方がまだましだとも思っていた。果たして、毎日昼頃まで寝て、グタグタと過ごす夏休みに、どんな意味があったのだろうか。それに、あまり楽しくない宿題というものがあって、それでは本当の意味での夏休みではないのではとも、今では思う。

 さて、今年の夏休みは例年にない酷暑だったが、番組に寄せられらた高校1年生の愚痴は次のようなものだ。「夏休みの宿題に、毎日日記を書くという課題があるのですが、入ったばかりで知り合いもいないし、部活にも入っていないし、特に出かけないので書くことがなくて困っています」。たぶん、この高校生にとっての日記は、たとえば、小学生の絵日記みたいな感覚なのではないだろうか。誰々さんと、遊びました、とか、どこかへ旅行に行きました、とか、何か変わったことと言うか、イベントと言うか、それがないと書けないものだと勝手に思い込んでいるだけなのだ。要するに、かたぐるしく考える必要などない。日記というのは、あくまで、それはそれはどこまでも自由で、自分勝手でいいものなのだから。それに、だいたいが、日記というものは誰かに読まれることを想定されていないのであって、昔、カギ付き日記帳が流行った時代もあった。

 そんなわけで、当の高校生は番組宛に、メールを書きながら、宮藤さん作の『あまちゃん』を見ていると言う。なんのこっちゃ、どれだけ暇なのだ。さすがまだ高校一年生は余裕があるねえ、と宮藤さんもゲストで来ていたヤシマさんも頷くが、部活がないとやることがないんじゃないのと同情もしている。中学生と高校生のお子さんがいるヤシマさんも、家に毎日二人も子供がウロウロしてしていたら、どうなっちゃうのと想像するだけで恐ろしくなると言う。また、父親が子供をプールに連れて行ったのは良かったが、そこの水はお湯で、あれはプールではないと嘆いていた。今年の夏は外が危険だから、部屋にいるしかないという、かつて経験したことのない過酷な状況になっていた。

 次のメールも高校生からだったが、こちらはうって変わって忙しくて、これでは夏休みだなんて名ばかりだと嘆きを綴っていた。塾の宿題だけでも大変なのに、学校の宿題まであるそうで、少しくらい遊びたいのに遊べないのが現実なのだ。本当のところは私などにはわからないが、たぶんこの高校生は普段から勉強に励んでいるはずなのだから、夏休みくらいはのんびりしてもいいのではないか。もっと遊んだほうがリフレッシュできるのではないかとさえ思うのだ。

 学生だけでなく、社会人からの愚痴のメールもちゃんと来ていた。官公庁の警備員をしている男性は、基本的に夏休みは取れない。だがそれよりも困っているのは夜になると空調設備が切られてしまうですとこぼしていた。昼間は勤務している人がいるからもちろんエアコンはオンになっているが、皆が帰った後はオフになる。ありえない、ええ~!?信じられない、この酷暑でいったいどう生き延びろと言うのだろう。それから、過酷な職場環境に加えて、給料が安くて困っているんですと嘆くと、宮藤さんがいったいいくらくらい貰っているんですかと尋ねた。男性が手取りで20万円なんですと即答したため、番組は一瞬同情ムードに包まれた。ただ、その男性は驚くべきことに、警備の仕事自体には誇りを持っていて、辞めたいと思ってはいなかった。毎月の給料だけではさすがに足りないので、最近では休みの日にアルバイトを始めたと話していた。”労多くして益少なし”なのにもかかわらず、頑張るこの男性に拍手を送りたくなった。

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