人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ゴースト・ワーク

今週のお題「読みたい本」

▲新聞に載っていた晶文社の『ゴーストワーク』の広告。

2カ月前に読みたいと思った、今でもそう思っている

 私が今読みたい本って、何だろうって考えてみた。もちろん今読みたい本は目の前にあって、もう一カ月程図書館から借りている。その他には何かあるだろうかと本棚を見上げたら、この『ゴースト・ワーク』の広告の切り抜きが貼ってあった。そうだった、あれは4月の中旬に新聞で見つけた広告だった。どうしてもその本のタイトルが気になって仕方なかった。『発売即重版』とか『4月25日発売』という宣伝文句にもずいぶん好奇心をくすぐられて、それこそ発売日に書店に走って行きそうな勢いだった。以前の私なら、すぐに書店で買ってしまっただろうが、その時の私はちょっと違った。目の前には良さそうだと思って図書館から借りた本があり、その本にとても満足していた。

 そのせいか、「ちょっと待って」と、読みたい、知りたいという、泉のごとく湧き上がってくる欲望にブレーキが掛かった。何も今すぐ読まなくても、本が消えてしまうわけでもないし、いや、本当のところは”旬の本”というのは、一度機会を逃すとなかなか、手に入りにくいものなのだが。要するに、そんな深い考えなどさらさらなくて、「今読まなければ」という気持ちを単に無視しただけなのだ。それに、そのうち、図書館でも借りられるかもなどと、都合のいい言い訳が浮かんできて、もしかしたらと図書館のサイトで検索してみたりした。だが、そんな虫のいい話は世の中にはなく、案の定ヒットしなかった。

 そのうち、機会があれば必ず、『ゴースト・ワーク』と出会えると、勝手に思って安心し、今日まですっかり忘れていた。広告には『AIが人の仕事を作る世界』とあり、『AmazonGoogle等の提供する、自動化されたサービスの裏に潜む、数えきれない”見えない労働者”の実情とは』との宣伝文句が人を惹きつけずにはおかない。そして、本の著者名と訳者名の横になんと、あの成田悠輔さんの名前もあって、監修、解説もしているらしい。成田さんと言えば、その著書『22世紀の民主主義』で一躍有名になったが、私が最初に成田さんの名前を知ったのは新聞の『おやじの背中』というコラムでだった。毎週著名人が自分の父親について語るコーナーなのだが、『子供の頃、僕の父親は蒸発しました』との記述に椅子からひっくり返りそうになるほどの衝撃を受けた。

 他のほとんどの人が父親との懐かしい思い出を語っているのに対して、成田さんの場合は父親が蒸発してしまったおかげでひどい目にあった経験談だった。なので、父親は自分が生きる上での半面教師的な存在になっている。父親同様に酒は一杯飲んでいるが、今のところお金には困っていない、とはっきり言いきっていた。

 もちろん、成田さんの著書『22世紀の民主主義」もすぐに買って読んでみた。いや、正確に言うと、最初はワクワクして最後まで一気読みしようと頑張ってはみたものの、無理で挫折した。成田さんの文章にある専門用語や、そこに書かれている内容が私のような無知の読者には到底理解できなかったからだ。はっきり言って、本の詳しい解説書があったらなあ、とさえ思った。ある程度、経済の知識や世の中の流れを把握していないと、読みたい本さえまともに読めないことを思い知らされた。自由だと錯覚していたら、思わぬ見えない壁に跳ね返された気分になった。

 そんなことを考えていたら、また不安な気持ちに取りつかれてしまいそうになる。つまり、『ゴースト・ワーク』も、無知の輩がすぐに飛びついて、どうにかなる本でもないのではないか、そんな類の警戒の念がふつふつと湧いてきた。それはさておき、もうすぐ月に一度のNHKの語学講座のテキストの発売日なので、書店に行くついでに本を探してみよう。その時面白そうだと感じたなら、きっと買ってしまうだろうが。

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