人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

日本人にとっては傘は必需品だが

今週のお題「レイングッズ」

雨の日に傘を差さない人たちもいることに目から鱗

 レイングッズと聞いて、思い浮かべるのはやはり傘で、雨風の強い日の翌日の朝には道路にビニール傘の残がいを発見することが多い。私はいつも思う、あのビニール傘と言うのはいったい誰が思いついのだろうかと。確かに、ビニール傘は”あったらいいなあ”の筆頭にあげられる商品だが、ほんのその場しのぎの代物で、実に虚しいと言えば虚しい。だいたいが、あの貧弱な作りでは強風に耐えられるはずもないではないか。でも、人々はそれを承知でビニール傘を買うのだから、それはそれでいいのではと反論されればそれまでだ。すべてカラスの勝手、個人の勝手で、他人にとやかく言われることはないのだ。

 かくいう私も昔は傘というものを持たずに出歩いていたので、急な雨の時はコンビニに駆け込んで傘を買っていた。だがそのうち、あまりにも家の傘立てにビニール傘が溜まるものだから、それを見るのが嫌になった。ではどうすればいいのか、そんなのは簡単なことで、いつでも出かける時は傘を持って行けばいいのである。となると、折り畳み傘で、かつ軽量の物がいいに決まっている。だが、いろいろ試してみると、これがなかなか選ぶのが難しい。あまりにも軽量だと、強度の面で問題があって、強風に煽られて、骨が曲がってしまい、もう使い物にならなくなった。

 実を言うと、折り畳み傘をダメにしたのは外国で、たしかベルリンに旅行に行った時だった。この時ほど、あんな安物ではなく、もっとちゃんとした傘を買っておけばよかったと後悔したことはなかった。運が悪いのか、その後も雨の日が続いたが、何のことはない、偶然にも救世主が現れて私を窮地から救ってくれた。泊まっていたホテルから、出かけようとしたとき、ロビーで傘をどうしようかと躊躇していた。すると、目の前に傘が差し出されて、「マダム、傘はご入用ですか」とホテルの従業員に尋ねられた。その時の私はまさに地獄で仏に出会ったような気分で、「まさか、そんなことが・・・」と俄かには信じられなかった。要するに、これはホテルのサービスの一環だったのだが、初めて遭遇した者にとっては大変ありがたかった。それまで泊まったホテルで傘に関してそんなサービスを提供されたことはなかったし、傘を貸してくれるように頼んだこともなかった。それくらい、ホテルを当てにしていなかった。だからこそ、驚いて、感激したのだろう。

 傘に関して、旅先で傘をダメにしたにもかかわらず、それ以降はもう少しましな傘を持っていくかと思っていたら、何のことはない、いつもの安物である。経験から何も学んでいないにもほどがある。これは”戻元過ぎれば熱さを忘れる”とばかりに、すぐに過去の痛みをケロリと忘れてしまう、どうしようもない性格のせいだ。それに、言い訳がましく聞こえるかもしれないが、外国ではほとんどの人が傘を差していないからでもある。よく観察してみると、皆傘を差さないで、フードか何かを被ってやり過ごしている。でもその場合は当然のことながら、持っているかばんやバッグは濡れてしまうのに気にしていないようなのだ。雨の日に傘をさすのが当たり前の日本人である私には、とても奇妙に思える光景だった。

 そう言えば、一番最初に海外に行ったのはイタリアだったが、その時は「もしも雨が降ったら、現地で傘を買えばいい」だなんて、思っていた節がある。かの国もたいして日本と変わらないと勘違いしていたからで、実際に行ってみて仰天した。最初の目的地であるローマの土産物屋で、店内の片隅に傘が置いてあるのを見つけた。「いくらくらいかなあ?」と何気なく値札を見たら、25ユーロ、いやもっと高かった記憶がある。当時の私にとっての傘は「嫌になるくらい電車の中や、行く先々の店に置き忘れてしまう、それが例え、お気に入りの傘であっても」というくらいの、何とも悩ましい存在だった。なので、もう傘にこだわるのはやめることにして、色やデザインに関しては目をつぶり、丈夫なら安物でいいと考えていた。

 傘に関してそんな考え方だったからこそ、現地の傘は馬鹿高いと驚いたのだろうが、きっとそれは値段に見合った品質の傘なのだろうと推測できる。それはさておき、それからというもの、海外旅行に行くときは傘は必ず持っていくことにしている。

mikonacolon