人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

コロナ禍でなぜか旅行の夢を見る

今週のお題「2020年上半期」

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旅行にはもう行かないと決めていた

 今になって2020年の初め頃を思い出すと、私はもう旅行には行かないと決めていたのです。なぜなら前年の11月に行ったロシア旅行で心にブレーキをかける事態が2度も起こってしまったからです。2008年に初めて訪れて以来、毎回予想外の素晴らしさに魅了されてきました。ところがここ数年は景気減速の影が街に変化をもたらしました。そうなると全盛期の街の賑わいはもう過去の栄光でしかありません。モスクワもサンクトペテルブルクも観光地ではなく、街にあるのは何の変哲もないありふれた日常でしかありません。最近よく思うのですが、テレビで見る浅草や京都などの人影がまばらな映像が自分が見てきたロシアの光景と重なって見えるのです。地下鉄に乗ったらみんなが同じことをしているのでびっくりしてしまいました。誰もかれもがスマホの画面に夢中なのです。以前のような楽しいおしゃべりも聞こえてこないし、本や新聞を読む人もいない異様な光景を目のあたりにしました。

身体と心の不調に襲われて

 そのせいかすこしメンタルをやられたみたいで、そんなことは絶対にないと否定したいのですが、だんだんと旅行の高揚感が下がり気味になってきました。すると心は身体を支配するのか、あろうことか疲労感が襲ってきました。予期せぬ事態に戸惑いながらも、頑張って名所を歩いて回ろうとするのですが歩くのが辛いのです。それに天気も雨模様で10日間ほどロシアに居たのですが、最後までお日様の顔を見ることはありませんでした。賑わいを失くした観光地、人々の何かに耐えているような固い表情、降り続く雨、それらのすべてが私の身体と心に影響を及ぼしました。そんなわけで、「飛べば悩みも吹っ飛ぶ」とか「旅行は私を元気にしてくれる」などのポジティブ思考はもうできなくなったのです。今では信じられないことですが、当時は体力面から「旅行はもう無理かも」と思い、何よりも「行っても楽しくないから意味ない」というネガティブ思考で旅行には行かない決断をしたのです。

 もう一つの緊急事態は手荷物検査のときに、旅の相棒ともいえる変圧器を没収されてしまったことです。これまで何度も空腹の危機を救ってくれた「あれ」がなくては外国で白米生活はできません。ペテルブルグの空港でさんざん待たされたあげく取られたときは、「これで終わった!」と旅の終わりを覚悟したのです。なぜなら旅行専門店やネットで同じ物を探しても見つからなかったからなのです。

旅行に行きたい気持ちがムクムクと

 ところがコロナウイルスの影響で誰もが旅行に行けなくなるとわかると、行きたい気持ちがムクムクと湧いてきました。そのせいなのか、本も旅心を刺激してしまうようなものを自然と選んでしまうようです。前評判に惹かれて買って読んでみたら、動物学者のディーリア・オーエンズ著「ザリガニの鳴くところ」は緑と光に溢れた湿原を散策しているような気分にさせてくれました。まさに自然観察ツアーに参加しているかのようで、偶然テレビで見た動植物の宝庫といわれるコスタリカの森に行きたくなってしまいました。現実はともかく、思うだけなら自由です。

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地球の歩き方、モロッコに掲載の写真。4WDでのドライブ。

 

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地球の歩き方、モロッコに掲載の写真。キャメルトレッキング。

  台湾のサンマウ著「サハラの歳月」も私たちの知らない砂漠での生活を垣間見ることができて興味深いです。中国・台湾で若者の熱狂的な支持を受け、両国で1千万部売り上げたというのですからまさに必読です。価格は2300円と高めですがそれでも読む価値があります。読んでみると抱腹絶倒でサンマウの現地での活躍に胸が躍ります。車を飛ばして砂漠を疾走すると、途中途中に何度も湖水が見えて来るのにすぐに消えてしまいます。サンマウは自分の目を疑うのですが、それは蜃気楼という現象だとわかりました。読み終えた後、私は早速本棚からモロッコのガイドブックを引っ張り出し、砂漠ツアーのページを見ていました。サンマウの貴重な体験の物語が好奇心を刺激して、いつの間にか旅心に火をつけたようです。

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