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中国ドラマに弱小国の外交を学ぶ

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王が死んだことにして新王を立てる?!

 中国ドラマ「大秦帝国」の続きですが、前回は楚王を捕らえたものの、帰国を拒まれて秦王(エイショク)は頭を悩ませていました。一方、王が軟禁されたと伝えられた楚の国では重臣たちが一堂に会して、これからどうするかを協議していたのです。「このまま王位を空位にして置いたら、敵国につけこまれて侵略される」。そんなことを誰かが言ったら、あろうことか「それなら新しい王を立てれば済むことだ!」との結論に達してしまった。もし楚王が戻って来たらという懸念にも、その時は退位すればいいだけであくまで臨時の処置なのだからと皆を納得させてしまった。

 楚の新王を誰にするかはすぐに決まった。隣の強国斉(セイ)に人質として送った太子が一番妥当だということで大勢の意見が一致した。早急に斉に太子を迎えに行かなければならないが、それには大義名分が必要だった。そこで考えたのが楚王の崩御で、「いくら何でも王が死んだのだから拒むことはないだろう」と事の成り行きを楽観していた。しかし、それは甘い考えで、逆に楚の領土の一部の割譲を要求されてしまった。斉王への感謝の気持ちを何らかの形で示して欲しいと脅され、土地の譲渡を条件に帰国を許されたのだ。心情に訴えようとしたが相手には通じず、思わぬ代償を払うことになったわけだ。

楚王は国の安泰のためと動じない!

 楚の新王は決まったが、楚王にはもう一人王子がいて、日頃から自分も王になりたいと密かに望んでいた。それで焦ったあげく秦に軟禁されている父に会いに飛んで来た。「父上は死んだことにされていますよ。どうかすぐに戻ってください」と憤り懇願する。ところが、楚王は自分は秦に捕らえられた時から死んだも同然なのだと全く意に介さない。以前から太子を後継ぎにしようと決めていた王はそれで国が安泰なら異論はないという。予想もしなかった楚王の言葉に王子は打ちのめされてしまう。それで、つい「私のことは考えてくれないのですか?私だって王になる権利はあるのですよ」などと本音を漏らしてしまった。すると楚王は「お前は秦王と太后に唆されたのか?敵の差し金に違いない!」と激怒して息子を追い返してしまう。

柔軟な策で強国と渡り合う

 領土の割譲を約束したものの、楚の重臣たちには自国の土地(准北)を斉に差し出す気はさらさらなかった。では斉に対してどう対処するか?皆で協議した結果3つの策を検討することになった。一つ目は土地の割譲を拒んで挙兵して准北を守ると言うのだが現実的ではなかった。楚には斉のような強国に対抗できるような兵力はなかったのだ。そして2つ目の策はとりあえず土地を献上して後で武力で取り戻すというものだった。最後は楚王を説得に秦に走った王子の策で、この際秦に援軍を求めてこの自国の危機を乗り切ろうとした。

 それにしても、秦がどうして楚のために援軍を出す必要があるのか、そこに王子の狙いがあったのです。准北は斉から遠いのですが秦と隣接する土地です。わずか200里の土地なのですがそこを斉が占領するとなれば秦にとっては脅威となります。ですから黙って高見の見物をしている場合ではないのです。そんな強国秦にとっての弱みを王子はうまく利用しようとしたのです。

 そこで楚の重臣はこの3つの策をすべて採用することにしました?!使者を斉に派遣して准北献上の意を伝えさせ、ある者には軍を率いて東進させて准北の守備を固めさせました。そして王子には秦へ助けを求めに行かせました。「そうすれば、楚王(新王)は国家間の盟約に反することも領土を失うこともない。秦に援軍を求めるのは国土防衛のためと名分が立つ」

 考えてみると、確かにこの策は強国である2国の斉も秦もどちらも敵に回さずに済みます。しかも自国の領土を失わずに見事に難問が解決してしまったのです。たまには頭がついて行けない時もありますが、国家間の駆け引きは見ていて実に面白いです。

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