人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

優しい友の豹変ぶりが怖い

今週のお題「怖い話」

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火葬場で怖い体験はできなかった

 連日うだるような暑さが続く中スーパーに行ったら何かがおかしい。何か変だと思ったら箱アイスの棚がギュウギュウ詰めでほとんど売れていない。それで気づいたのは、近頃ではアイスの冷たさよりも甘ったるさの方が勝ってしまっていることだ。アイスはもはや涼しさを運んでくれるものではなくなってしまった。35度などという体温に近い暑さではこちらの感覚もどうかしてしまっているようだ。こんな時は背筋が凍るような怖い体験をして、いいえ、そんな話でも聞いて暑さを吹き飛ばしたくなる。しかし、残念ながらこれまでの私の人生において、そんな「怖い話」はどこを探してもでてこない。

 実はその昔、私の家の畑は火葬場とお墓のすぐ隣にあった。今は火葬場と言うと立派な建物と決まっているが、当時はただの小さな掘立小屋みたいなものだった。人が死ぬとそこでみんな焼かれて骨になって、目の前にあるお墓に入れられたのだ。畑にはおやつのサトウキビやイチジクを食べに毎日のように行っていた。都会のように街燈などというものはなくて、日が暮れたら辺りは真っ暗闇になる。世間ではお墓ではリンが燃えて起こる火の玉が見えることがあると言うが、見たことなどない。幽霊が居てもおかしくない環境?なのにそんな噂など聞いたこともなかった。やはり火葬場やお墓を幽霊などと結びつけるのはドラマとかの影響なのだろうか。

可愛い友だちが豹変して

 前置きは長くなったが、私の怖い話は可愛かった友達がオオカミに豹変した体験です。小学校の頃、クラスに可愛くて優しくて、でも少し自信がない様子の迷える子羊がいた。その子は私の幼馴染であり、クラスの学級委員のお気に入りだった。毎朝委員の女の子に「可愛いわねえ」と頬ずりされて恥ずかしそうにするのが日課だった。学校では控えめで引っ込み思案の彼女も家に帰れば、妹と弟がいた。さぞかし優しいお姉さんなのだろうと思っていた、あの時までは。

 あれは初めて家に初めて遊びに行った夏休みのことだったと思う。幼馴染みと言っても田舎なので家は歩いて行ける距離にはない。だから普段は行ったことはなかった。家でも彼女は学校と何ら変わらず私たちは仲良く遊んでいた。当時は公園などなく外での遊び場は神社の境内で、妹たちが遊んでいるので寄ってみた。すると彼女の様子がおかしくなり、妹や弟を前にして何やら怒っている。「お母さんの言いつけを守らなきゃダメでしょう!」いつもの弱弱しい声などではない、大きくて自信に満ちた姉としての迫力に満ちた声。こんな彼女の姿は見たことがない、とても信じられない!さすが長女と感心している場合ではなかった、次から次へと出てくる厳しい言葉に呆れ、嫌気がさしてきた。妹たちは怖がって半泣きの状態だ、それにしてもここまで追い詰めるとは不可解だ。明らかに暴君だった。

 これ以上の叱責は必要ないと判断した私が口を挟もうとすると、「○○ちゃん(私のこと)は黙ってて!」とピシャリ。もはや妹や弟だけでなく誰であっても関係ないのだった。人によって態度を変えるのではなく、兄弟の前ではこの人格なのだった。家ではオオカミで学校に来ると迷える子羊になる生活をしていた。まるでジキルとハイドのような二重人格だ。その事実を知ってしまったらなんだかとても怖くなってきた。あれ以来彼女とは疎遠になり、今まで思いだすこともなかった。

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