人生は旅

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宇宙船は悩みのない快適空間?

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宇宙船にひとりは快適?

 テレビ東京のドラマ「40万キロかなたの恋」をタイトルに惹かれて見始めました。地球から40万キロも離れた宇宙でひとり暮らす宇宙飛行士が主人公です。コロナ禍で三密を避けるための設定を追求したら、自然とこんなユニークお話ができたそうです。彼は宇宙船にひとりで引きこもる、しかも自ら進んでこの任務を選んだのです。煩わしい人間関係を嫌って、人との関係に悩む必要がない今の環境に満足していました。自分の食べたいものを食べられる、見たい映画も見られるし、油絵などの趣味もあるので退屈とは無縁でした。毎週末にはVR(ヴァーチャルリアリティシステム)を使って世界各地を旅行し、時間を最大限に活用して楽しんでいたのです。

 それに彼は本当の意味でひとりではなかったのです。AI(人工知能)のユリという忠実な相棒がいたので究極の意味での孤独と言うわけでもなかったのです。何か問題が起きればいつもユリが助けてくれました。ユリは人間ではないのですが、おそらく彼にとっては心の支えであったに違いありません。外からの雑音が何も聞こえてこない快適な空間の中だからこそ、彼の心の平安は保たれていたのです。煩わしいこと、例えば過去の出来事などは思いだすこともなかったのです、あの女性が現れるまでは。

現実に引き戻されて動揺する

 ある日、地球の基地から通信がありモニターの画面に映し出されたのは、もう忘れたはずの元カノでした。宇宙飛行士の取材で来たという彼女はあくまで事務的な対応をしてくるのです。ですが彼は明らかに動揺して、つまり誰が見てもまだ彼女のことが好きなのが見え見えなのです。それで自分の気持ちを隠そうとして、つい攻撃的に反応してしまいます。そんな彼の変化をユリは見逃さず、「大丈夫、問題ない!」という言葉の裏を読んでしまうのです。以前聞いた「人間は自分の気持ちとは反対のことを言う時があるんだ」という彼の言葉をちゃんと記憶していました。だから「まさに今がそのときなのですね!」と確信し、見たこともなかった彼の変化を嘆くのです。

AIが嫉妬する?

 このドラマの副題は「AIとの三角関係」ということになっています。でもAIのユリに生身の女性のようなメラメラと沸き上がるジェラシーがあったかどうかは疑問です。物思いに耽るようになり、以前とは別人になった彼を元に戻したくてユリは暴走してしまいます。ユリは彼を独占したいわけではなく、悩みから救い出して心の平安を取り戻して欲しかっただけなのです。悩みの元を視界から消せば彼は解放されると判断したユリは地球から遠くに離れようとする。ですが、彼はそれでも「地球の近くに居たい」とユリを説得するのです。おそらくAIのユリには人間の複雑な心模様は不可解なだけなのですが、彼の意志を尊重して思いとどまるのです。

 宇宙船の快適空間を一瞬にして現実に引き戻したのは、地球からの元カノの取材依頼でした。主人公は普通ならだれも望まない宇宙での任期を更新しようとさえ考えていたのです。でも外からの刺激によって自分が人と、まさか人間嫌いの自分が人との関わりあいに飢えていたのだと気付かされるのです。人間は誰でも自分が感じたことを他人にわかってもらいたいという欲求に駆られるそうです。そんな時にはそばに誰かいて欲しいのですが、そんな都合のいい時ばかりではありません。たまに傷つけられてしまうこともありますが、それを面白がるくらいがちょうどいいと思うのです。

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