人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

具だくさんの中華麺

見かけは中華そば、でもやっぱり違う

 給食で思い出すメニューと言ったら、なんといっても”中華麺”だ。中華麺だから、黄色い麺なのだが、中華そばとはちょっと違う。キャベツ、玉ねぎ、にんじん等の野菜がいっぱい入っていて、汁は少なめだ。他にはハムやラーメンに入っている、渦巻模様のナルトも入っていた。スープは野菜の味と他の具材のエキスのせいか、複雑でより美味しくなっていた。なぜこの中華麺をあんなにも気に入っていたかと言うと、私が苦手な脂身たっぷりの豚肉が一切入っていなかったからだ。給食で出される他の煮物や炒めものには必ず豚肉が入っていたので、嫌でたまらなかった。

 それに中華麺は野菜がたいして好きではなかった私でも、麺と一緒に野菜がスルスルと口の中に入っていった。味が薄めで、でもちゃんと味が付いている中華麺は今から思うとなんだか不思議な味だった気がする。学校から家に帰ると、母に「給食で美味しかったら同じように作って欲しい」と頼んだ記憶がある。母には悪いが、あまり料理の才能がなかった母親に、事細かに材料や作り方を説明した。野菜は母が畑で作っているきゃべつ、白菜、人参、玉ねぎなどできるだけ沢山の種類を使った。後の他の材料は一軒先にある村の何でも屋で調達した。味付けはたぶん醤油とハイミーでも使ったのかもしれない。おそらく何度も試行錯誤を重ねた結果、美味しい中華麺は完成したのだろう。なにぶん遥か昔の記憶なのので、想像力を目いっぱい駆使して思い出すしかない。

 子供ながら、給食の味を再現したくて一生懸命だったわけだが、幸運にも似たような味に仕上がった。ただ、本物の味には到底及ばなかったのは言うまでもないが、当時の私は十分満足だった。そういえば、学校の給食室を見学したことがあって、想像もできない大きさの鍋を見て仰天した。「この鍋が美味しさの秘密なのかもしれい」と子供ながら感心したことを覚えている。中華麺は私だけが好きなのかと思ったら、そうではなくてみんなも好きだった。ステンレスの鍋の中を覗いてみたら、スッカラカンだった。先生は「好き嫌いをせずに何でも食べましょう」と言うけれど、子供にも当然食べ物の好みはある。給食のおばさんには大変申し訳ないが、今の世の中で言うとSDGsには反するが、人気の無いメニューは決まっていた。でもクラスの男子の中には何でも綺麗に平らげてしまう子もいるわけで、好き嫌いの激しい私などは彼を尊敬の目で見ていた。

 大人になって、長崎ちゃんぽんを食べたとき、あの給食の中華麺にちょっと似ているなあと思った。でもちゃんぽんのスープは独特の味なので、あっさりとした中華麺のそれとは違いすぎる。それにあれは野菜と麺とを一緒に食べると言うよりも、恐ろしいほどたくさんのもやしとキャベツやら玉ねぎを食べてからでないと、麺とは出会えない。野菜の森を食べ進んでから麺を味合うような形になるので、どう考えても中華麺とは別物だ。その時は街にある長崎ちゃんぽんのチェーン店で友達と一緒に食べたのだが、その後、友達はそこでアルバイトをすることになった。友だちからそこの店の秘密を色々と教えて貰った。例えば、店の奥にある厨房は調理場と言うよりも、工場のようなものだと言っていいのだとか。そこはすべて機械化されていて、人は冷凍の材料を中に入れてボタンを押したら出来上がるのを待つだけのシステムになっているらしい。つまり、誰が操作しても同じ味に仕上がるように、厨房自体が作られているのだ。

 当時は給食の時間になると、すぐに机を移動させて、くっつけたりした。好きな子同士で一緒に給食を食べるためだ。自然とグループが出来ていて、ワイワイ、ガヤガヤと楽しい時間を過ごしていた。久しぶりに、もう会えないあの頃のクラスメートはどうしているだろうかと思ったら、懐かしさで胸がいっぱいになった。

mikonacolon

 

 

 

 

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