人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ナポリタン

子供はケチャップが好き、それで人気のメニュー?

 私はすっかり忘れていた、給食のメニューにナポリタンがあったことを。以前同僚の男性と雑談をしていた時に、「俺、給食のナポリタンが好きだったんだよねえ」と彼が懐かしそうに言っていたことを思いだした。彼によると、給食のナポリタンは、喫茶店やレストランで食べるそれとは一線を画しているらしい。遠い記憶を遡ってみると、ナポリタンの麺は太く、目いっぱい伸びきっているかのようで、ふにゃふにゃだった。でもあのふにゃふにゃが良かったのだ。大人になって知ったのだが、あれは”ソフト麺”と呼ばれていた。スパゲッティとは比べ物にならないくらい柔らかい麺が子供の好みにぴったりだったのだろう。

 「柔らかい麺に纏わりついたケチャップの味がなんとも言えないくらい美味しかったんだよ」と彼は給食のナポリタンを絶賛していた。確かに、玉ねぎ、ピーマン、ハムなどの具材と混ぜ合わさったケチャップ味の麺は子供には最高のご馳走だった。なぜそんなにナポリタンが好きだったのか。考えてみると、ケチャップの甘くて酸っぱい味が子供には最高に美味しく感じられたのだろうか。今ではもう大人になった私はフランクフルトにはマスタードだけで、ケチャップは使わない。なぜならケチャップの味が甘すぎるからで、ツーンとくる酸味も苦手だからだ。不思議なことに、給食のナポリタンは酸っぱくなくて、甘さだけが引き立っていて、トマトのうま味を存分に出していた。

 今思うと、まるでケチャップとは別物と勘違いしてしまいそうだが、たぶんあれは十分に加熱することによってケチャップの酸味が全部飛んだせいなのだ。トマトの酸味が消えた結果、元のケチャップの何倍も甘みが増して、子供の大好きな味に仕上がったのだろう。トマトは熱を加えると、信じらないほど美味しく変身する不思議な野菜だ。

 同僚の男性は大人になってからはナポリタンを食べる機会は少なくなった。ナポリタンは喫茶店の定番メニューになっているが、最近は昔ながらの店が再開発などで消えている。馴染みの店でいつもの味がもう食べられなくなったと嘆く。もちろん、喫茶店ナポリタンは給食のそれとは全く違う。麺はそうは柔らかくはなく、少し硬めに茹でてあって、麺の触感を、歯ごたえも一緒に味わって食べるように調理されているからだ。かくいう私も、ナポリタンを食べる機会はそうはなくて、だからたまに無性に食べたくなる時がある。ナポリタンはスパゲティと野菜とトマトケチャップがあれば、簡単にできるだなんて思ったら、それは全くの幻想だ。家で試してみたことがあるが、想像したような理想の味にならずに挫折した。それ以来、家ではナポリタンを作らないことにした。

 今まで不思議でならなかったのは、外国のカフェのメニューにナポリタンがないことだった。だから、諦めて、似ても似つかないものだがミートスパゲティなんかを頼むしかなかった。最近知ったのだが、ナポリタンは日本生まれで、日本独特の調理をしたスパゲティの名前だった。それで、外国のどこにもないことが分かって、あれは日本人が最も好きな日本人のための食べ物なのだと確信した。以前、新聞記事にイタリア人の目から見たら、日本のナポリタンはどう映るのか、率直に書いてあった。彼らの答えは「全くの邪道でしかない」そうで、許しがたいという意見が多数だった。そんなことを言われても、好きなものは好きなのだから気にすることはないわけで、ナポリタンはビクともしない。”郷に入らば郷に従え”でナポリタンは日本独自の文化として、大いに世界に誇っていいのだと思う。

mikonacolon

 

 

 

 

 



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