人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

拡大コピーで視界が開けた

ガイドブックが買えなくても大丈夫

 昨日やっと今秋行く旅行の航空券を買った。実を言うと、最初はいつになく欲を出して、一番快適な席は何処かを追及してしまった。もちろんエコノミー席だが、その中でもよりラクチンな席は何処かについて好奇心が抑えられなかった。機内でトイレに行くと、目に付くのは最前列の席で、信じられないほど足元のスペースが空いている。なんだかとても羨ましいような気分になって、自分もいつかあの席に座りたいと思っていた。それで、今回は最前列を取って見ようかと値段を見てみると、19,800円で、いつものコンフォートよりは高めだ。別にそれでもいいと思ったが、ネットで元CAさんが書いた記事を読んで、躊躇してしまった。なぜなら、私も何度か見かけたことがあるが、食事の時は急いで液晶パネルを折り畳まなければならないからだ。それに、普通の席のパネルよりも、小さ目で、どう見てもエンターテインメントシステムを楽しむのには向いていない。足元ががら空きだと言うことが、ずばり、快適な条件に当てはまるかというとそうでもないようだ。そうなると、避けた方が賢明で、やはりいつもの普通の席よりも10㎝程足元が広めのコンフォートの席を迷わず選択した。

 行きの目的地はウィーンで、帰りはワルシャワから帰る日程にした。ウィーンに降り立つのは実に15年ぶりで、あの時はオーストリア航空で行った。飛行時間は13時間で、目の前に液晶パネルなどなく、退屈して死にそうになった。しかも帰りは腰が痛くて痛くて堪らず、早く日本に着いてくれることだけを願っていた。そのため、直行便は長くて辛いという、間違った考えを抱いてしまったが、今ではそんなことは露ほども思っていない。去年の秋フィンランド航空で13時間かけてヘルシンキに行ったが、至極快適だった。

 おもえば、ウィーンで思い出すのは、シュテファン大聖堂と、シェーンブルン宮殿と、美味しいベジタリアンレストランぐらいのもので、大して感慨はない。その時の私はクリムトの名も知らず、ウィーンに対してそう興味があったわけでもなかった。一緒に行った友だちに連れられるままにウィーンに行ったと言うのが本音だった。なので、シェーンブルン宮殿が黄金ではなく、ただの黄色い建物だと知ったときの落胆は大きかった。

 ウィーンの話はさておき、今回旅行のための情報収集をする中で、大きな発見があった。以前、ポーランドのガイドブックは在庫がなく、これからの出版予定もないとブログに書いた。そのため、電子書籍をダウンロードするか、あるいは図書館で借りるしか選択肢がなかった。それで、私は迷うことなく図書館で借りることにした。自分のものなら、切り取って旅行ノートに貼りたいところだが、公共のものなのでそれはできない。それに、ガイドブックに載っている地図ははっきり言って、小さく分かりずらい。せっかく街の詳細な地図が目の前にあると言うのに、これでは使えない。でも、とりあえず、コピーして置くことにした。小さな地図でも、無いよりましだからだ。

 だが、幸運なことに、ある意外なことを発見した。プリンターで印刷した時、偶然、拡大機能もあることを知ったのだ。普段はほとんど使わない機能だが、地図を拡大できると知って嬉々となった。クラクフワルシャワなどの未知の街が手に取るようにわかると思っただけで、心の中の霧が晴れて、希望が生まれた。そうなると、まるで自分がその場にいるかのように、シュミレーションできて、とても楽しい。ホテルの位置もだいたい想像がつくので、できる限り、自力で歩いて行けるところを選んだ。

 正直言って、小さな地図では戸惑うばかりで、何も始められなかった。だが、地図を拡大することによって、私の中で未知の街はだんだんと現実味を増してきた。これは私にとって、とりもなおさず、今まで知らなかった感覚で、大発見なのだ。なぜなら、ガイドブックの地図を拡大して使うなどということは考えも及ばない行為だったから。要するに、図書館でガイドブックを借りたことで、思わぬ発見をしたと言うか、かけがえのない教訓を得たのだ。世間では”ピンチはチャンス”とよく言われるが、私の場合も、絶望が希望に変わった瞬間だった。

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