それはマウスの不調のせい？それとも、関係ない？
ずうっと、マウスの具合が悪かった。しょっちゅう、”矢印”を見失っていた。新しいのを買わなきゃとは思っていたが、まだ使えるから、とまだ大丈夫と高を括っていた。どうにもこうにも動かなくなったら、その時買えばいいと簡単に考えていた。ところが、折も折、新幹線の切符を買おうとしていた時、”その時”は訪れた。朝から、パソコンがやたらに、警告音を鳴らし、画面には「このデバイスは認識されていません」などとの表示が何度も出ていた。それでも、私はそれをいつものことと軽く無視し、新幹線の予約を何とかやり遂げようとした。
実を言うと、この時は新幹線の帰りの切符を買おうとしていて、行きの分はすでにクレカで購入済みだった。いつものように何事もなく、切符は買えるはずだった。少々、パソコンの警告音が気にはなったが、マウスの不調など関係ないとしか思えなかった。だが、支払いの画面になって、クレジットカードの番号を入力し、「この内容で決定する」をクリックしたのに、決済ができないと言う憂き目にあった。赤字で書かれた警告文を読んでみると、「あなたのクレカには何らかの問題があって・・・」から始まり、「カード会社にお問い合わせください」で終わっていた。こんな事態は俄かには信じられず、何度も試してみるが、結果は同じ。
仕方がない、本当はクレジットカード払いがいいのだが、現金でも構わないと譲歩してやってはみたが、それもエラーが出てダメだった。こうなると、もはやカード会社に連絡して、不具合の原因を尋ねるしかないのかと一瞬思ったが、そのとき、パソコンでダメならスマホではどうだろうかという考えが浮かんだ。滅多にスマホで買い物をすることはないが、こんな緊急事態に際しては、利用できるものは何でも利用するべきだ。すがるようにして、スマホにえきねっとの会員番号とパスワードを入力して、ログインする。もし決済ができない理由が、マウスの不調なら、スマホなら大丈夫なはずと判断したが、どうしたことか、クレカでやっても駄目だった。それで、万に一つの望みをかけて、いくつかある支払い方法のうち「駅で現金で支払う」を選択したら、今度はうまくいった。
私としては、実に納得がいかない事態だが、まあ、切符が買えたことには間違いなく、正直ホッとした。考えてみると、日本の列車の切符を買うのにこんなに苦労するとは夢にも思わなかった。普通なら、ほんの数分程度で難なく切符が買えるはずが、不測の事態にみっともなくも狼狽してしまう自分を発見し、「なんで？.一体全体どうしてこんなことに？」と空を見つめて、嘆くばかり。嘆いてばかりもいられない。根本的な原因はマウスの不調を面倒臭がって、放置した自分にあることは明かだ。
先に、「スマホでやってみよう」と思いついたと書いたが、実はその前に、「マウスをすぐにでも買いに行かなきゃ」という発想に憑りつかれていた。残念ながらその時はまだ朝の9時前で、店は開いているはずもない。それで、喉から手が出るほどマウスは欲しいが、お預けを食らった犬のごとく、じっと待つしかなくなった。そのおかげで、諦め気分に少々余裕が出たのか、「スマホで」試してみるという展開になった。それでも、クレジットカードが使えないのは大いに堪えた。
あの後、歩いて10分のところにある中古のパソコンショップに駆けつけたのは言うまでもない。本当なら、都心にあるビッグカメラの店舗に行きたかったが、マウス一つを買うためだけに、わざわざ炎天下に出掛ける気にはならなかった。それで、とりあえずのつもりで、500円の有線のマウスを購入した。もちろん、家にはパソコンに付いていたワイアレスのマウスがあるが、最初に何度設定しても、上手く動かず、業を煮やした私はそれを押し入れの奥深くにしまい込んだ。それ以来、ずうっと有線のマウスを愛用している。
今回、マウスを買った店はただ通りすぎるだけの、自分がまさか利用するとは思いもしなかった場所だった。そこに確かあったはずだったが、気にも留めず、関係ないとばかり思っていた店に助けられたのである。
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