人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

エアコンが不調の際は

どこに電話すべきか迷う

 日経のコラム『春秋』で記者さんが嘆いていた。買ってまだ3年目のエアコンが不調で、全然効かないと言う。たしか、10年保証を付けたはずなので、メーカーのお客様相談センターに問い合わせてみた。だが、昨今は滅多に人の声に行きあたることなどなく、無味乾燥なAIの音声で、様々な質問をされてうんざりする。それでも、こちらはエアコンを何とかしなければならないので、AIに素直に従うしかない。幸運なことに、3分ほどで、生身の人間が出たのに、また先ほどAIに答えたのと同様の質問をされてイラっとする。だが、この場合は短期は損気で、自分の気持ちなどに構っている場合ではない状況である。さらに、エアコンについて、買った店はどこか、とか、室外機の周りに何か障害物はないかだとか、散々質問される。どうやら自社製品の故障とは認定したくないという本音が見え見えだった。さらに驚いたことに、修理費用が掛かるといわれる。購入の際、10年保証を付けたはずと声を大にして訴えると、それはメーカーではなくて、量販店での補償であって全く関係ないと言われて、万事休す。要するに、話は振出しに戻ったわけで、最初から、量販店に電話すればよかったのだと落ちが付いた。

 この記者さんは貴重な時間と労力を無駄にしてしまった体験談を赤裸々に書いているが、私にも似たような経験がある。私の場合は冷蔵庫で、それはかれこれ、10年以上も前に買った製品なのだが、製氷機能だけが問題だった。買って5年経った夏の頃、突然今まで順調に製氷作業をしてくれていた製氷機がピタリと氷を作らなくなった。もちろん、私は量販店の修理センターに電話をした。その頃はまだ電話に人間が出た時代だった。その後、2年くらいしてからまた調子が悪くなったが、今度は修理に来てくれた会社の人が置いて行った修理票に書いてあった電話番号に直接かけて来て貰った。それからは順調だったが、また数年したら、氷を作らなくなったので、また電話をしてみた。だが、すでにその会社はもうやっていないのか、電話が一向に通じない。

 仕方がないので、冷蔵庫を買った量販店のレシートに載っていた電話番号にかけてみると、「おかけになった番号は現在使われておりません」と虚しい音声が流れた。そうなると、頼りになるのはネットで、ようやく現在有効な番号を見つけることができた。だが、何度かけても、「現在大変電話が混みあっています」との音声しか聞けなかった。その際「お急ぎの方はネットでも修理受付が可能です」とのフレーズに敏感に反応した私は、ネット予約をすることにした。本音を言えば、急いでいる身としては、ネット予約はまどろっこしいが、返事が返って来るのを待つしかなかった。何もしないよりはましだった。「できるだけ早く回答する」とは書いてあるが、それがいつかはわからない。

 あまり期待しないほうがいいとは思っていたが、それは無理な話だった。諦めていたら、意外に早くメールで返事が来て、2日後に修理に来て貰えることになった。それでよしとして、果報は寝て待てとばかりにおとなしく待てばよかったのだ。それなのに、何を考えていたのか、以前来て貰った修理の会社にまた電話をしてしまった。今度は担当の人とすぐに繋がり、話をしたら、翌日なら来て貰えることになった。そうなると、私の頭の中で、ネット予約をキャンセルすればいいだけという発想が浮かび上がった。こんな時、ネットは便利で一瞬で予約をキャンセルできた。

 さて、翌日私は今か今かと修理の人を待ちわびていたのに、何たることか誰も来なかった。それで、私は薄々気が付いた、つまり、ネット予約をキャンセルしたということはもう必要ないとの意思表示だと捉えられたのではないかと。おそらく、量販店の修理センターと私が直接電話した修理会社とは密接に繋がっていたのだろう。ネットの情報というのは、とても便利だが、自分の使っている冷蔵庫の型番から考えると、すでに部品の製造が終了しているという不都合な現実もつぶさに教えてくれるのだ。不思議なことに、もういいかと諦めた途端、今まで沈黙していた製氷機が活動を開始した。

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