人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

連休前の歯科治療

不安で堪らず、歯医者に電話

 当然のことだが、連休中は歯医者でなくても、あらゆる医療機関が休みに入る。だが、私の場合は虫歯の治療で、一緒にお休みはちょっと困る。歯医者の先生は「おそらく、八割がた痛みが出ることはないでしょう」と太鼓判を押すのだが、不運なことに、その痛みが今回は出てしまった。それで、土曜日なのに、土曜日は混んでいると承知で躊躇なく電話をしてしまった。でも、珍しく幸運の女神が応援してくれているらしく、「4時半なら空いています」と受付のお姉さんに言われた。ラッキーである、二つ返事で電話を切る。この鬱陶しい歯の痛みを何とかしてもらいたい私は、先生に泣きついた。

 実を言うと、この時の痛みは普通の虫歯治療ではなく、神経を取った後の痛みで、もっとも痛みが出やすいケースだった。普通なら、虫歯になっている部分をすべて取り去れば、たとえ麻酔から覚めたとしても、そうは強い痛みは出ることがない。だが、神経となると、話は別で、「神経すべてを取ったので、もうこれで大丈夫です」と先生に言われたたところで、安心はできないのである。さらに、それが大型連休の前ともなれば、さらに不安は増す。治療の後、先生に何か家に痛み止めはありますかと聞かれた。痛み止めはないけど、頭痛薬ならあります、バアファリンですけど、と答えると、「それで十分です」との返事。以前にも神経の治療をしたことがあったので、今回も大丈夫と高を括っていた。だが、そうは問屋は降ろさなかった。自分でも認めたくはなかったが、やはり、話をしたり、物を食べたりして、口を動かすとズキズキしてくる。

 何もしていない時はどうですか、と先生に尋ねられ、「ズキズキとまではいかなくても、やはりじ~んとしているので気になります」と思ったままを言う。つまり、今のところはズキズキともうどうしようもなく痛いのでないけれど、この先どうなるのか、この痛みはどんどん発展し、大きく膨らむのではないかと不安なのだ。もし、いつでも連絡できるのなら、こんな不安はすぐに払拭できるのだろうが、明日から連休ともなれば、どうしても切迫感に苛まれてしまう。なので、大型連休の前日にはどうしても、歯医者に行って安心したい、ただそれだけなのだ。先生に「大丈夫ですから」と言ってもらえば、精神的に落ち着ける。痛み止めのロキソニンの処方箋を書いて貰い、ホッとして歯科医院を出た。

 考えてみると、神経の治療はすぐには終わらない。神経は繊細そのもので、刺激を与えた後は、時間をかけて落ち着くのを待つしかない。先日見つかった下の歯の前歯の虫歯は歯と歯の間にできていた。それも横の前歯なので、歯と歯の間がよく見えないので、自分では気が付くのは無理だった。先生が歯科用の小さなミラーで「ほら、ここですよ」と指摘してくれてようやく理解できた。歯と歯の間が黒くなっているのがわかる。これが歯の根っこにできる虫歯と言われるものだった。一般的に年齢が40代以上になると、歯茎が痩せてきて、象牙質が露わになる。そうなると、根っこの虫歯になりやすいそうだ。根っこの虫歯は放っておくと、ボキボキと歯が折れると言う悲惨な事態になりかねないから、恐ろしい。

 自慢にもならないが、常日頃から歯医者に通っている私でさえ、虫歯とは縁が切れない。もうこの辺りで歯医者を卒業したいと本気で思っているのに、一生無理だと諦めざるを得ない。いやいや、そう深刻に考えないでと先生に言われてしまいそうだが、ついつい考えてしまう。そう言えば、先生は歯周病について、「歯周病菌はすぐに血液に入り込んで、全身を巡るので要注意なんですよ」と警告していた。たかが、歯の問題と軽視していると、とんでもないことになるのだと強調していた。生きている限り、歯のメンテナンスとは無縁ではなく、これからも歯医者の先生とは長い付き合いになりそうだ。

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