人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

カフェで事件に遭遇

そんなことを言われる筋合いはない、と思ったら

 昨日ドイツ語のテキストを買いに大型書店に行った話を書いた。実を言うと、その帰りにちょっとした事件に遭遇した。空腹ではなかったが、ちょっと休憩がてら、立ち寄ったカフェでのことで、当節はなかなか起こらない事態なので、少なからず驚いた。その某有名コーヒーチェーンの店舗は広いスペースで、ゆっくりできる店だったが、私はいつも入り口近くの二人席を利用していた。その日はとっくにお昼のピークを過ぎていて、運がよければ席は空いているはずだった。カフェの入口で席が空いているかどうか確かめようとしたら、不思議なことに3席あるテーブルがすべてがら空きだった。不思議に思って、反対方向のカウンター席を見ると、こちらは満席だった。あれ、どうしてと思わずにはいられない。なぜ誰も座っていないのか、と訝しく思いながら、注文カウンターに進もうとすると、目の前に3,4人の男性が立っていた。彼らはまるで私の行く手を遮るかのように立っていたので、もしかして、注文の順番を待っているのかとも思った。だが、彼らは横に広がって立っていて、どう考えても順番を待っているのではなかったが、とにかくその場にいなければならなかったのだ、と今ならわかる。

 私がカウンターの方向に彼らをよけて進もうとすると、彼らは私のために道を開けてくれた。やはり順番を待っている人はいなかった。カウンターの脇にあるショーケースの中に抹茶と小豆のタルトがあったので、カフェラテと一緒に注文する。いつものように、窓際にある二人席に座って、ケーキを食べ始めると、驚いたことに警察官がひとりやって来た。私がいる目の前で、何やら高齢者の男性に根掘り葉掘り質問し始めた。なにしろ、目の前で起こっている事態なので、「私には関係のない事」で済ますことはできなかった。高齢者の男性は今までどこに隠れていたのかと思うほど、突然姿を現した。警察官に訴える彼の話の内容は、全く要領を得なくて、何がどうなっているのかさっぱりわからなかった。

 ただ、「首を絞められた」とか「押されて倒れた際に頭を打った」とかの彼の言葉から類推すると、客同士でトラブルがあったらしい。目の前で繰り広げられている警察官との会話からわかったことは、彼が注文の順番を待っている時にうろうろしたのがトラブルの一因だったということ。要するに、順番を待っている間にショーケースの中が気になり、ついつい見に行ってしまい、その後また場所に戻ってくると言う行為で、他の人から見れば、”横入り”で狡い行為としかみなされない。

 それなのに、その高齢者の男性は順番を待っていたひとりの男性に見咎められて、憤慨してしまったらしい。「なぜ、自分は悪くないのに、そんなことを言われなければならないのか」と言う気持ちが先だって、「どうして馬鹿にされなければならないのか、冗談じゃない」と反論したと言う。それからはほんの些細な事から火がついて、大事になった。高齢者も相手の男性もどちらも譲れなくなる事態へと発展してしまった。相手の男性は一緒に来ていた同僚に止められて、やっと冷静になることができた。幸い、高齢者の男性にケガはなく、表面上は何事もなく収まった。だが、これで一件落着というわけには行かず、カフェでの事情聴取の後、警察署に出向かなければならない。延々と時間がかかり、厄介以外の何ものでもない。

 双方から話を聞き、状況を判断するわけだが、今回は驚いたことに防犯カメラの映像も参考にすると言う。これまた私の目の前で、カフェの店員が警察官から事情を聴かれていた。カフェの店員さんがピークの忙しい時に事件の一部始終を見ていたわけでもないだろう。それはさておき、今回の事件から見えてくるのは、高齢者がただ一言、「すみませんでした」と謝れば済んだと言うこと。カフェの店員さんや、警察官をも巻き込んでまで大事にして、自分の正当性を証明したいのだろうか。甚だ理解に苦しむ。

mikonakoron