人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

クロスフィールド・ホテル

ベッドが高すぎて、怖い以外は問題なし

 セントパンクロス駅を出た私は、早速、予約したホテルを探そうとするが、簡単には見つけられない。すぐに見つかると思ったのは、そのホテルが通りの名前が付いているからで、日本と違って、イギリスではどんな小さな通りでも、ちゃんと名前が付いているからだった。小さな路地がいくつもあって、いったいどこなのかわからない。うろうろしてみると、駅前のこの辺りにはホテルがいくつもあることに気付く。アマンダホテル、セントパンクロスホテル、セントラルホテルなどと、より取り見取りだが、因みにセントラルホテルは、以前私がキャンセルしたホテルだった。その理由はバス、トイレが共用だったからだけの話だ。

 ガイドブックの地図と睨めっこして、自力で探そうとするが、どうやら無理そうだった。誰かに聞こうと辺りを見回すと、uber eats の配達員らしき人がいた。彼ならこの辺りのことに詳しいはずと、通りの名前を知っているかと聞いてみるが知らないと言われてしまう。それで、今度は近くにあったホテルの従業員と思われる女の人二人が掃除をしているのを見つけて、彼らに尋ねてみた。ホテルの予約確認書を見せると、最初は知らないと言われたが、「ちょっと待って」と言うと、玄関の方に歩いて行った。すぐに戻ってくると、どうやら電話をかけて聞いてくれたようで、少し先にあるビルを指さして「ほら、あそこですよ」と教えてくれた。よく見ると目の前は工事の真最中で、建物は何もない状態だった。これでは通りも何もわからないのも無理はなかった。物価高のロンドンに身構えていた私は、彼らの親切に拍子抜けした。スゥエーデンのストックホルムのような冷たい街を想像していたからだった。意外にも「人は優しい」のだと一瞬戸惑ったが、この後行ったスーパーマーケットでも、同じ体験をすることになる。

 見知らぬ人の親切に助けられて、たどり着いたクロスフィールド・ホテルの部屋は狭いながらも快適だった。しかし、ある一つの点においては、また泊まりたいかと聞かれると返答に困る。何が問題なのかと言うと、ベッドの高さで、普通のホテルのベッドに比べて、2倍くらい高い。ベッドのタイプはセミダブルだが、寝返りでもしようものなら、床に転げ落ちそうで怖い。要するに、ダイニングテーブルの上に寝ているようなものなのだ。なぜ、そんなに高いのかと言うと、下に空間があって、どうやらそこは荷物置き場に利用するために作られた場所だった。冷静になって考えてみると、部屋には棚というものがなくて、荷物を入れる場所がなかったからだ。

 なので、私は寝る時はベッドの両側に枕を置いてガードし、落っこちないように用心して寝ていた。それでも、このホテルのサービスにはとても満足している。部屋にはミネラルウォーター、湯沸かしポット、コーヒーステック、ミルク、コーヒーカップが準備されていて、しかも美味しいクッキー2個まで付いていた。日本でも同じようなタイプのクッキーをたまに見かけるが、気軽に買えるような値段ではない。このホテルのロビーには飲み物が買えるスペースもあったが、フロントの人の話では水だけは無料で飲めるそうだ。

 このホテルは駅に近くて、ユーロスターに乗るには便利だが、大英博物館のような、見どころに行くのには少し遠い気がする。一番問題なのは、近くに適当なスーパーがないことで、私は15分ほど歩いたところにあるショッピングセンターのブランズウィックに通っていた。ある日の夕方、ミネラルウオーターが切れかかったので、ロビーに行って冷蔵庫から水を取り出し、フロントに断ろうとしたら、声をかけられて一言注意されてしまった。彼らが言いたいのは、確かに水は無料だが、フロントに断ってから、取りに行くようにとのことだった。そうなると、なんだか面倒になった私は、水はスーパーで調達するようになってしまった。

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